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一般社団法人日本人材育成協会

JAPAN PERSONNEL DEVELOPMENT ASSOCIATION

熊本県警、当直を労働時間から除外 過労死ライン超え続け、巡査遺書残し死亡!(令和3年2月8日.毎日新聞)

熊本県警が2020年11月まで、警察署の当直勤務を労働時間から除外する運用をしていたことが、県警への取材で明らかになりました。当直勤務中も事件事故などに対応しますが、県警は国が「ほとんど労働する必要のない勤務」に限り労働時間に算入しないことを認めている「断続的労働」とみなしていました。長時間労働の末に2017年に自殺した県警玉名署巡査の死を巡り、地方公務員災害補償基金が認定した時間外労働と同署の算定に最大で月約50時間の開きがあることも判明しましたが、当直を労働時間から除外していたのが一因でした。

●死亡した渡辺崇寿(たかとし)さん(当時24歳)は2012年に高校卒業後、警察官となり、玉名署に配属。自動車警ら係などを経て17年4月に刑事課に配属されましたが、同9月11日、遺書を残して命を絶ちました。2020年11月に自殺が公務災害に当たると認定した地方公務員災害補償基金が21年1月、遺族に開示した認定文書などによりますと、渡辺さんは週1回のペースで当直勤務(平日は午後5時15分~翌午前8時半、休日は午前8時半から翌午前8時半)に入っていました。ところが、県警は渡辺さんに限らず、当直勤務について、手当は支給するものの、労働基準法が原則「週40時間まで」と定めて規制する労働時間には含めていませんでした。県警は基金の調査に対し、労働時間に含めなかった理由について、県の規則で当直が「断続的労働」と規定されているためと説明していました。

●国は通達で「断続的労働」を「構内巡視や文書電話の収受など、常態としてほとんど労働をする必要がない勤務」と定義し、労基法は労働時間に算入しないことを例外的に認めています。ただ、警察署では当直勤務中も事件の初動捜査や検視、事故対応などがあり、遺族側によると、渡辺さんも17年4月から死亡する9月までに入った21回の当直のうち16回で、事件や事故の対応に当たっていました。基金も、渡辺さんが当直勤務中に「基本的にずっと仕事をしていた」といった複数の同僚証言などを基に、休憩と5時間の仮眠以外は労働時間に当たると判断しました。その結果、渡辺さんが刑事課に配属された2017年4月以降の時間外労働の概算は、基金と玉名署の間で、4月=基金135時間(玉名署80時間)▽5月=112時間(96時間)▽6月=116時間(71時間)▽7月=163時間(143時間)▽8月=116時間(88時間)――と大きな開きがあり、基金の認定では5カ月連続で「過労死ライン」とされる月100時間を超えていました。
2021年02月08日 08:50