制服の着替えは「労働時間」か、郵便局員ら44人「1日14分」の賃金求め訴訟!(令和3年9月27日.読売新聞)
制服に着替える時間は、労働時間に含まれないのか――。出退勤時の着替えに要する1日14分間分の賃金が支払われていないのは不当だとして、郵便局員らが起こした訴訟が、専門家らの注目を集めています。●訴えたのは、兵庫、大阪、京都3府県の10郵便局で働く従業員ら44人。着替え時間を計測して、出勤時7分、退勤時7分と導き出し、時効にかからない2018年1月~昨年12月の「未払い賃金」を算出。今年4月に日本郵便に対し、計約1500万円の損害賠償を求めて神戸地裁に提訴しました。訴状などによりますと、日本郵便は就業規則で勤務中の制服着用を義務づけ、マニュアルでは勤務時間外の着用は基本的に控えるよう求めていますが、着替え場所に関する規定はないといいます。
●垂水郵便局(神戸市)に勤務する原告の男性(60)は「制服は仕事中にしか着ない。着替えの時間も仕事に含まれなければおかしい」と話しています。参考になりそうな最高裁判決があります。三菱重工業長崎造船所の従業員が起こした訴訟で、最高裁は2000年、労働時間を「使用者の指揮命令下に置かれている時間」とし、着替え時間も含まれるとして未払い分の支払いを命じました。第1回口頭弁論で日本郵便側は争う姿勢を示し、現在も係争中。同社は読売新聞の取材に「局内での更衣は義務づけていない。指揮命令下にあるとは言えない」としています。明治大学の小西康之教授(労働法)は「どこからどこまでを労働時間と細部まで決めている企業は少ない。訴訟が、労使間で話し合い、互いが納得できる基準を設けるきっかけになってほしい」と指摘しています。
2021年09月27日 08:47