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一般社団法人日本人材育成協会

JAPAN PERSONNEL DEVELOPMENT ASSOCIATION

スポットワークに関する労務管理指針を厚生労働省が策定 ! (令和7年7月4日.厚生労働省)

スポットワークに関する労務管理指針を厚生労働省が策定
-マッチング時点で労働契約が成立するとの明確な見解を示す-

近年、単発・短時間の業務に特化した「単発型就労(いわゆるスポットワーク)」において、企業側が直前に一方的に就業をキャンセルする事例が相次ぎ、労働者の生活の不安定化が社会問題となっています。
こうした背景を踏まえ、厚生労働省は2025年7月4日、スポットワークに関する労務管理上の留意点をまとめたリーフレット(使用者向け・労働者向け)を公表しました。

詳細:厚生労働省「スポットワークにおける留意事項等を取りまとめた労働者及び使用者向けのリーフレットを作成し公表」
 
1. 法的根拠
・労働契約法第6条では、「労働者が労働を提供し、使用者が賃金を支払う旨の合意があれば、労働契約は成立する」と規定されています。
・スポットワークでは、スマートフォンアプリ上で求人に応募し、即時にマッチングが成立するという性質を持つため、特段の明確な別途合意がない限り、応募時点で労働契約が成立したとみなされるとの見解を厚生労働省が示しています。
 
2. 労働契約成立後の義務と対応
・労働契約が成立した時点から、労働基準法や労働安全衛生法などの労働関係法令がすべて適用されます。
・使用者には、労働条件通知書の明示義務があり、通勤中および就業中に発生した傷病に対しては、労働者災害補償保険法(労災保険)が適用されます。
・また、業務開始前の準備行為(例:制服への着替え、清掃、待機など)についても労働時間に含まれ、これに伴い時間外労働手当や休業手当の支払い義務が生じる可能性があります。
 
3. 休業・キャンセルに関する対応
・使用者の都合による就業の中止や早退(丸1日分の休業を含む)は、労働基準法第26条に基づき、「使用者の責に帰すべき事由による休業」として扱われ、平均賃金の60%以上の休業手当の支払いが必要です。
・ただし、予定されていた賃金を全額支払う場合には、休業手当の支払い義務は免除されます。
 
4. 罰則および事業者の責任
・労働条件の明示を怠ったり、賃金を支払わなかった場合は、労働基準法違反となり、労働基準監督署による是正指導や、必要に応じて罰則の対象となります。
・また、プラットフォーム事業者や雇用仲介型アプリの運営者に対しても、職業安定法に基づく行政指導が行われており、不当な利用制限やサービス停止を行った場合には、法令違反とみなされる可能性があります。
・厚生労働省は、経済団体および一般社団法人スポットワーク協会に対し、加盟企業への周知徹底と啓発活動、および労働者ユーザーへの支援体制の整備を要請しており、プラットフォーム運営者にも法的・社会的責任が課される構造となっています。

2025年08月04日 14:53