療養中の解雇条件緩和 労災保険給付金を受給の場合 最高裁!(平成27年6月9日・朝日新聞)
業務上のけがや病気で長期に休職している労働者を解雇できる条件について、最高裁第二小法廷は平成27年6月8日、これまでの法解釈を緩和する判決を出しました。これまでは、補償金のほか、療養費を雇う側が支払っていることが解雇できる条件でしたが、国の労災保険の給付金が療養費の代わりになる、との初の判断を示しました。●労働基準法は、労働者保護の観点から解雇できる条件を厳しく規定しており、療養中の労働者については、3年たっても治らず、雇用主が療養費を支払っていれば、1200日分の「打切補償」を支払うことで解雇できるとしています。しかし、労災が認められれば、療養中も労災保険の給付金を受け取れるため、これが療養費と同じ扱いになるかが争われました。
►ポイント
訴えていたのは、肩や腕に痛みなどが出る「頸肩腕(けいけんわん)症候群」で休職中の専修大元職員の男性です。2011年に補償金を支払われて解雇されていました。労災保険の給付金を受けていましたが、療養費が支払われていなかったため、解雇は無効で職員の地位にあることの確認を求めていました。一、二審判決は、労災保険の給付金と療養費は別だとして解雇を無効としていました。これに対して最高裁は「労災保険の給付金は、療養費に代わるものと言える」と判断し、「国の労災保険の給付金を受けている場合、補償金を支払えば解雇できる」としました。二審判決を破棄したうえで、元職員の解雇が解雇権の濫用に当たらないか審理を尽くすため、二審・東京高裁に審理を差し戻す判決を出しました。
2015年06月09日 14:51