最新の労働分配率8年ぶり低水準、内部留保は最高!(平成28年9月5日.日経新聞)
企業の利益のうち、労働者の取り分を示す「労働分配率」が低水準になっています。財務省の法人企業統計から算出した2015年度の労働分配率は66.1%で、リーマン・ショック前に企業の利益が膨らんだ2007年度(65.8%)以来の低さとなりました。一方で企業の利益の蓄積である内部留保は4年連続で過去最高を更新しています。●労働分配率は付加価値額に対する賃金などの割合で表します。付加価値額は年度の人件費や営業利益、減価償却費、支払利息等を合計したものです。賃上げや賞与の増加で人件費の総額は2年連続で増えましたが、利益が過去最高水準となるなか、分配率は低下しています。2015年度の内部留保は377兆円で前年度比6.6%増となりました。内部留保の増加に関して、企業経営者には「内部留保そのものを悪とする考えはおかしく、経営の自由度をあげる唯一の原資だ」(日本商工会議所の三村明夫会頭)との声が根強いようです。
●石原伸晃経済財政・再生相は「経済を成長軌道に乗せるには内部留保を設備投資や賃金増加につなげることが重要だが、残念ながらそういう状態に十分にはなっていない」と現状に不満を述べています。一方、麻生太郎財務相は「もっと労働分配率の比率が高くなってこないとおかしい」と今後の上昇に期待を示しました。直近では、4~6月期の設備投資は前年同期と比べ3.1%増と、プラスだが伸び率は鈍っています。経常利益は減益だが、前年同期に続き過去2番目の高水準を維持しました。企業が利益を投資に回すのに慎重な姿勢は続いています。
2016年09月05日 09:31