過労死の責任、役員一人ひとりに 遺族が株主代表訴訟へ!(平成28年9月5日.朝日新聞)
過労死や過労自殺を生じさせた企業が負った賠償責任は、役員一人ひとりが負うべきだ――。4年前に自ら命を絶った銀行員の遺族が、株主の立場で当時の役員11人を相手取り、2億6千万円余りを銀行に賠償するよう求める株主代表訴訟を起こします。訴訟を通じ、過労死防止の責任は経営陣にあることを明らかにし、意識改革を促したいといいます。●原告は熊本県内の地銀最大手・肥後銀行の当時40歳の男性行員の妻。代理人の弁護士によりますと、過労死・過労自殺問題をめぐる株主代表訴訟は全国で初めてといいます。男性は為替・手形システムを改める作業の責任者を務めていた2012年10月、本店から飛び降りて亡くなりました。熊本労働基準監督署は死の直前4カ月間の残業時間は月113~207時間と推計。2013年3月、働き過ぎで重いうつ病になったのが自殺の原因として、労災と認定しました。
●妻ら遺族5人は同年6月、肥後銀行を相手取り、損害賠償を求めて提訴。熊本地裁は2014年10月、従業員の健康に注意する義務を怠り、漫然と過重な長時間労働をさせたとして、慰謝料など計1億2886万円の支払いを命じました。銀行側は控訴せずに判決が確定し、賠償金を支払いました。妻は男性が保有していた株式を相続しており、今回は株主の立場で株主代表訴訟を起こします。訴訟では、役員が過労死を防ぐ有効な体制作りを怠ったため、賠償金を支出することになり、銀行に「損害」を与えたとしている。さらに過労自殺で銀行の信用も傷つき、少なくとも1億円の損害が生じたなどと主張しています。
2016年09月05日 16:23