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一般社団法人日本人材育成協会

JAPAN PERSONNEL DEVELOPMENT ASSOCIATION

最低賃金20円超上げへ2年連続、脱デフレ促す 人件費増!(平成29年6月26日.日経新聞)

2017年度の最低賃金は、2年連続の20円超の引き上げとなりそうです。昨年度の上げ幅は過去最高の25円で、これを上回るかが焦点となります。引き上げによって幅広い地域や業種で時給が上向くことになります。一方で都市部ではアルバイト・パートの募集時平均時給が最低賃金を大きく上回っています。厚生労働省は平成29年6月27日、中央最低賃金審議会を開き2017年度の最低賃金の引き上げに向けた議論を始めます。現在の全国水準は加重平均で時給823円です。

●政府は3月に策定した働き方改革実行計画で最低賃金の時給1000円を目指し、毎年3%程度引き上げる方針を明記しました。計画を策定した会議には経団連の榊原定征会長や連合の神津里季生会長ら労使トップも参加しており、審議会でも大きな異論は出ないとみられます。ただ、中小企業側からは大幅な賃上げは企業体力を奪うといった意見が強く、労働者側はさらなる引き上げを求める可能性もあります。3%「程度」と含みを持たせており、25円とは言い切り難い状況です。仮に今年度も3%の引き上げなら25円増の848円となり、今後も3%ずつ上がれば2023年度に1000円を超える計算です。

●最低賃金の引き上げはデフレ脱却を促す方法の一つとされます。第2次安倍政権の発足後、最低賃金の引き上げ幅は昨年度で計70円を突破しました。その結果、中小や地方企業などで最低賃金の水準近辺で働く労働者数は増えています。改定後に最低賃金を下回る労働者の割合は2000年代後半は2%台でしたが、ここ数年で急上昇しており、2015年度は9%に達しました。所得が低い層も生活に幾分余裕を持てるようになり、消費拡大に寄与することになります。また、賃上げをきっかけに、中小企業などにより生産性を高めるよう企業努力を促す作用もありそうです。
2017年06月26日 09:54