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一般社団法人日本人材育成協会

JAPAN PERSONNEL DEVELOPMENT ASSOCIATION

パワハラ防止を義務化、6月1日から推進法 指導との違いに曖昧さ!(令和2年5月26日.東京新聞)

企業にいじめや嫌がらせなどのパワハラ防止を義務付ける改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)が2020年6月1日に施行されます。企業の責務を明確にしてパワハラを防ぐのが狙いで、厚生労働省は1月、何がパワハラに当たるかの具体例も示しました。一方で労働組合関係者からは、例示を都合よく解釈し、パワハラを否定する会社も出てくるのではないかと懸念する声も聞かれます。

●厚労省の指針は、パワハラを(1)優越的な関係を背景に(2)業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により(3)労働者の就業環境が害される-の三つ全てを満たすものと定義。「身体的攻撃」「精神的攻撃」などパワハラを六つの型に分け、「物を投げつける」「人格を否定するような発言をする」といった例をそれぞれ挙げています。事業者に義務付けられたのは、パワハラの禁止を就業規則などに示すことや、意識改革のための社内研修などを行い、相談体制を整えること。相談があれば事実関係を確認し、加害者の処分や、被害者と引き離す配置転換など再発防止策を講じることが求められます。

●パワハラは正当な指導との線引きが曖昧です。2016年、厚労省が全国約2万社に行った調査では、71%が「パワハラかどうかの判断」を難しさに挙げています。今回、具体例が示されましたが、「働き手が訴えた内容を、『パワハラに当たらない例』に当てはめて認めない会社が出てくる可能性がある」と言います。指針は、行為が業務の限度を超えているかの分かれ目は「平均的な労働者の感じ方」としています。ただトラブルに至った経緯なども考慮が必要で、単純ではありません。
2020年05月26日 09:25