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一般社団法人日本人材育成協会

JAPAN PERSONNEL DEVELOPMENT ASSOCIATION

労働者が出資、運営「ワーカーズコープ」法が成立へ 協同労働を実現!(令和2年10月12日.東京新聞)

働く人が自ら出資し、運営にも携わる「ワーカーズコープ(協同労働)」という新たな働き方が実現しようとしています。協同労働を可能にする法案が、10月26日召集の臨時国会で成立する見通しです。新型コロナウイルスの影響で廃業や雇い止めも相次ぐ中、労働者が自ら仕事を創り、生き生きと働ける新たな選択肢として注目されそうです。

●協同労働の考え方は、現代社会で働く多くの人たちが、意欲や能力に見合った就労の機会を与えられず、失職する恐怖や疎外感にも悩まされているという問題意識に根ざしています。地域社会の要望に沿った、やりがいを感じられる仕事を住民が自ら創り、主体的に働ける仕組みとして、協同労働が考え出されました。 協同労働を担う組織「労働者協同組合」を設立するための規則を定めた労働者協同組合法案が、与野党全党・全会派の賛同による議員立法として、先の通常国会に提出されました。臨時国会で審議されれば、全会一致で成立する見通しです。  
法案は、労働者協組は
(1)組合員が出資
(2)組合員の意見を反映
(3)組合員が組合の事業に従事 という3原則に基づいて運営されることを規定。
労働契約も締結するとし、最低賃金などが守られるようにしました。 これに似た組織として、労働者自らが出資・運営する企業組合や、NPO法人がありますが、労働者協組は、それらに比べてさまざまな面で有利に設計されています。

●企業組合を設立するには、都道府県知事の認可が必要なため手続きに時間がかかりますが、労働者協組は認可は不要。NPO法人は組合員による出資が認められず、手がける事業も福祉、観光振興など20分野に限られていますが、労働者協組は、組合員が出資して運営に参加することで労働条件などを自ら決められます。労働者派遣事業以外、どんな業種の仕事もできます。  関係者がまず念頭に置くのは、地域の需要があるのに担い手がいない事業への参入になります。
(1)後継者不在で廃業を考えている中小企業の仕事を、従業員が労働者協組を設立して引き継ぎます。
(2)訪問介護や学童保育を、意欲のある人たちが労働者協組を立ち上げて担う―などのケースが想定されます。 ワーカーズコープの法制化に取り組んできた日本労働者協同組合連合会(東京都)の古村伸宏理事長は「地域に必要な事業に関わり、そこで暮らすための担い手を増やしていきたい」と話しています。

●労働者協同組合法案のポイント
▽組合員が自ら出資し、それぞれの意見を反映して事業を行い、自ら働くことを基本原理とする「労働者協同組合」を規定。多様な就労の機会を創出し、地域の需要に応じた事業を促進
▽組合は営利を目的に事業を行ってはならない
▽組合の設立は準則主義(官庁の認可は不要)。3人以上の発起人を要する
▽組合は組合員と労働契約を締結しなければならない
▽事業制限はない。ただし労働者派遣事業を行うことはできない
▽一部を除き、公布後2年以内に施行
▽現存する企業組合またはNPO法人は、施行後3年以内に総会の議決を経て組織を変更し、組合になることができる
2020年10月12日 08:47