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一般社団法人日本人材育成協会

JAPAN PERSONNEL DEVELOPMENT ASSOCIATION

どうなる「過労死ライン」20年ぶりの基準見直し注目!(令和3年6月21日.朝日新聞)

脳や心臓の病気を発症した働き手が労働災害を申請した場合の認定基準について、厚生労働省が20年ぶりの見直しを進めています。とくに働き過ぎだったか否かの判断材料として存在感の大きい「過労死ライン」の行方が注目されます。

●岐阜県で建築関係の仕事をしていた50代男性は2017年、脳出血を発症しました。平日は早朝から日付が変わる直前まで働き、休日も現場に出向きました。業務の負担が増えるなかでの発症だったといいます。男性は、労働基準監督署に労災申請しました。しかし却下され、現在、再審査を請求中です。代理人の一人の大辻美玲弁護士は「過労死ラインの『月80時間』がハードルになっている」と話しています。これまで労基署の判断の際、過労死ラインが重みを持つのは間違いなく、2019年度に認定された脳・心臓疾患の労災216件のうち、残業が月80時間未満だったのは23件だけです。

●過労死ラインは、発症前の労働時間が原因だったといえるかを判断する目安のことです。発症前1カ月間の残業がおおむね100時間あった場合、または発症前2~6カ月間の月平均がおおむね80時間を超えた場合、業務との関連性が強いと判断されます。この男性の場合、発症前1カ月の残業は約87時間、発症前2カ月の月平均は約68時間で、ラインに届きませんでした。過労死ラインは、あくまでも脳・心臓疾患の労災認定基準の一つにすぎません。業務中に受けた大きな精神的ショックや、1週間以内の過重労働で認められることもあります。厚労省の担当者も「時間以外の要素も踏まえて総合的に判断している」と説明しています。
2021年06月21日 09:35