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一般社団法人日本人材育成協会

JAPAN PERSONNEL DEVELOPMENT ASSOCIATION

介護職の賃上げ「目標に届かず」国から補助金「月9000円増」事業所側、分配任され苦慮!(令和4年8月19日.東京新聞)

介護職員の処遇改善は今年2月から実施。2〜9月は、申請した介護事業所に国が補助金を出し、それを元手に給料を引き上げています。補助金は、訪問介護では2・1%、通所介護は1・0%というように、サービスの種類ごとに介護職員数に応じた交付率が決められており、各事業所が得ている総介護報酬にかけた額が払われています。

●現場の介護職員の給料は、実際に上がったのか。介護事業所で働く人らの労働組合「UAゼンセン日本介護クラフトユニオン(NCCU)」の村上久美子副会長によりますと、組合員の賃上げ額の平均は月約6500円。パート制は時給約30円のアップにとどまりました。「平均で1万円以上引き上げた事業所もある」といいますが、目標の9000円に届いていないところがほとんどとなっています。その一因は、各事業所に判断が委ねられている補助金の割り振り方だ。補助金自体は介護職員の人数に応じて出ていますが、趣旨通りにしてもいいし、補助の対象ではない事務職員やケアマネジャーなどの賃金アップに使ってもかまいません。愛知県内の小規模の特別養護老人ホームでは、介護職員を中心に月7000円アップさせたほか、管理栄養士や事務職員らの給料も引き上げました。それぞれ介護に入ることがあるためです。同県内の別の介護事業所では、パートの介護職員の時給をすべて上げるのは困難だからと、負担の重い入浴介助に入る人の時給を50円上げたといいます。また、静岡県で複数の介護サービスを提供する法人は、週32時間以上働き、介護を中心的に担う職員の賃上げを手厚くしました。「誰もが納得するように処遇改善をするのは難しい」と担当者たち。賃上げの対象を広げれば効果が薄まりますが、逆に、対象を絞れば、上がらなかった人からの不満が出ます。事業所は、対応に苦慮しています。そもそも補助金を申請していない事業所もあります。村上副会長によりますと、過去の処遇改善策に取り組んでいないため申請条件を満たさないケースや、申請の事務作業の煩雑さを避ける事業所もあるといいます。

●一方、今回の介護職員の賃上げは10月以降も続いていますが、国の補助金はなくなります。その財源は、事業所に支払われる介護報酬に、交付率と同様に「加算」されて賄われることになります。介護報酬の1〜3割は利用者の自己負担となっており、交付率とほぼ同率で利用料に上乗せされる見通しです。例えば、通所介護に1万円を払っていた人は、百円程度負担が重くなる計算で、利用者にこの値上げを理解してもらう必要があります。高齢化が急速に進むいま、介護職員の不足や処遇の改善は大きな課題。NCCUによりますと、この10年の処遇改善策で、介護職員を中心とする組合員の平均月給は約5万円上がりました。しかし、2021年の賃金構造基本統計調査では、介護職員の平均月給は全産業平均より、まだ約七万円少ない。「介護人材の確保のためには、国民に負担を理解してもらうとともに、さらなる対策が必要」と村上副会長は訴えています。経済対策の柱として政府が昨年秋に打ち出したエッセンシャルワーカーの賃上げ。介護職員の場合は、今年2月から補助金を出し、1人あたり月9000円アップの処遇改善を目指しましたが、現場からは目標に達していないとの声も多いです。10月からは補助金がなくなり、利用者の負担が増える見込みで、その理解を得ることも課題になります。
2022年08月19日 09:53