Uber Japan事件命令書交付について!(令和4年11月28日.労働委員会事務局)
当委員会は、本日、標記の不当労働行為救済申立事件について、命令書を交付しましたのでお知らせします。命令書の概要は、以下のとおりです。↓
厚生労働省リンク(pdf)
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1 当事者 申立人
ウーバーイーツユニオン(東京都新宿区) 被申立人 Uber Japan(ウーバー・ジャパン)株式会社(東京都港区) 同 Uber Eats Japan(ウーバー・イーツ・ジャパン)合同会社(東京都港区)
2 争点
配達パートナーが、労働組合法(以下「労組法」という。)上の労働者に当たるか否か(争点1) ウーバー・ジャパンは、配達パートナーである組合員との関係で労組法上の使用者に当たるか否か(争点2) 組合が申し入れた団体交渉に対し、ウーバー・ジャパン及びウーバー・ポルティエ・ジャパン(現ウーバー・イーツ・ジャパン)が応じなかったことが、正当な理由のない団体交渉拒否に当たるか否か(争点3)
●3 命令の概要<全部救済>
争点1について
本件では、プラットフォームを利用して業務を遂行する配達パートナーの労働者性が争点となっている。ウーバーは、配達パートナーに対し、プラットフォームを提供するだけにとどまらず、配達業務の遂行に様々な形で関与している実態がある。そして、1)事業組織への組入れ、2)契約内容の一方的・定型的決定、3)報酬の労務対価性が認められ、4)業務の依頼に応ずべき関係、5)一定の時間的場所的拘束は認められないものの、広い意味での指揮監督下の労務提供が認められ、6)顕著な事業者性は認められないから、これらの事情を総合的に勘案すれば、本件配達パートナーは、労組法上の労働者に当たる。
争点2について
ウーバー・ジャパンは、ウーバー・イーツ・ジャパンから業務委託を受け、配達パートナーへのサポート業務を行っている。ウーバー・ジャパンと配達パートナーとの間には直接の契約関係は存在しないが、ウーバー・ジャパンは、広報・法務・契約業務、配達パートナーの登録手続、教育、アカウント停止措置の運用、パートナーセンター及びサポートセンターの運営等を所管して、団体交渉事項のほとんどを取り扱っており、ウーバーイーツ事業について、実質的に配達パートナーへの対応を行っている。 また、ウーバーイーツ事業については、同事業に携わる関連会社各社の役割分担が明確に区別されているとはいえず、実質的には、関連各社が事実上一体となって、同事業を展開し、運営していたとみるのが相当である。 したがって、ウーバー・ジャパンは、配達パートナーの労働条件等に関する団体交渉事項について、配達パートナーとの契約の当事者であるウーバー・イーツ・ジャパンと共に、現実的かつ具体的に支配、決定することができる地位にあったとみるのが相当であり、団体交渉に応ずるべき使用者の地位にあるというべきである。 ]
争点3について
ウーバーイーツ事業における配達パートナーが、労組法上の労働者に当たることは争点1で判断したとおりである。ウーバー・イーツ・ジャパンは、日本におけるウーバーイーツ事業の運営主体であり、配達パートナーとの契約の当事者でもあることから、同社及びその前身であるウーバー・ポルティエ・ジャパンは、配達パートナーの労働条件等について、組合との団体交渉に応ずべき地位にあるところ、同社は、配達パートナーの労働条件等に関するものを団体交渉事項とする組合の団体交渉申入れに対し、これに応じていないのであるから、同社の対応は、正当な理由のない団体交渉拒否に該当する。 また、ウーバー・ジャパンは、争点2で判断したとおり、配達パートナーの労働条件等について、団体交渉に応ずるべき使用者の地位にあるところ、同社は、配達パートナーの労働条件等に関するものを団体交渉事項とする組合の団体交渉申入れに対して回答をせず、団体交渉に応じていないのであるから、同社の対応は、正当な理由のない団体交渉拒否に該当する。
2022年11月28日 09:02