中小企業の7割超「賃上げの予定なし」の衝撃、城南信金アンケート!(令和5年1月26日.東京新聞)
原材料などの価格高騰で物価上昇が進み、賃上げの行方が注目される中、城南信用金庫(東京都品川区)と東京新聞のアンケートに、中小企業の7割以上が「賃上げの予定なし」と答えました。岸田文雄首相は物価上昇率を超える賃上げを掲げていますが、商品やサービスにコスト上昇分を上乗せする「価格転嫁」が進まず、売り上げの伸び悩みに苦慮する中小企業の現状が浮き彫りになりました。調査は令和5年1月10〜13日、東京都と神奈川県にある城南信金の本支店が実施。取引先の中小企業738社への聞き取りで、今年の賃上げは「予定なし」が72.8%を占めました。●「賃上げ予定なし」の理由について、「収益が確保できず、逆に人件費を削減している」(品川区の印刷業)、「客の財布のひもは固い。もともと薄利で賃上げまで回らない」(調布市の和菓子製造・小売り)など、売り上げの伸び悩みを訴える声が目立ちました。世田谷区の居酒屋は、客足は新型コロナ感染拡大前の八割程度に戻りましたが、一人当たりの単価は下がったと指摘。「先行き不透明感があり、固定費を増やすことに踏み切れない」と説明しました。原材料高と収益の関係について「深刻な悪影響がある」「やや悪影響がある」が全体の約8割を占めました。一方、コスト増加分の価格転嫁が「まったくできていない」「ほとんどできていない」と回答した中小企業が32.8%でした。
●賃上げできない理由に、価格にコスト上昇分を上乗せできない現状を挙げる声も多く、ガソリンなど燃料代の高騰で利益率が悪化しているという相模原市の運輸業者は「価格転嫁で取引先の3割から発注がなくなった同業者もいます。慎重にならざるを得ない」としています。「賃上げする予定」と回答したのは26.8%。このうち賃上げの予定幅は1%台が35.4%、2%台が27.8%と全体の6割以上を占めました。5%以上の賃上げ幅は14.1%でした。調査対象の城南信金の取引先は、商店や飲食店など比較的規模の小さい企業も多く含まれています。調査担当の職員は「小規模な企業の従業員にも賃上げが行き渡る施策が求められている」と国に要望しています。
2023年01月26日 10:07