大学生らに「ブラックバイト」広がる!(平成27年4月23日・朝日新聞)
大学生らに「ブラックバイト」と呼ばれる働かせ方が広がっているといいます。●アルバイトなのに勉強しづらくなるほど長く働かされたり、ノルマを達成できないと自腹で商品を買わされたり。数年前から問題視されてきましたが、改善は進んでいません。大学などが注意を呼びかけ、厚生労働省も4月から本格的に警鐘を鳴らし始めました。厚労省は4月から「アルバイトの労働条件を確かめよう!」というキャンペーンを始めました。新たに働く学生に基本的なルールを知ってもらうのが狙いです。バイトでも残業手当があり、会社都合で自由に解雇できないといったポイントを示したチラシ約1万8千枚を首都圏の4大学で配りました。厚労省幹部と大学生の座談会も計画しています。
►ポイント
・学生の知識不足を悪用 ブラックバイトの実態大手コンビニチェーンの滋賀県の店で昨年11月まで1年半ほど働いた20歳の男子大学生は、うな重やお中元の販売ノルマを課せられたという。おでんのキャンペーンの週には「家族や友達にも声をかけて100個は達成を」とオーナーに言われた。親にも一部出してもらって自宅用に数千円、50個以上を購入。残りは親戚に頼むことになったといいます。ノルマ未達成なら反省文を書かされたり、「罰ゲーム」として勤務時間外にゴミ捨て場の掃除などを無給で命じられることもあったようです。オーナーが怖くて自腹購入がバイト仲間で常態化していたといいます。負担は1回あたり数千円でも、学生にとっては大きな出費になります。正社員でもノルマ達成の「自爆営業」は問題になっていますが、弱い立場のバイトにまでしわ寄せがいっています。
・大手コンビニ側は「本部から販売を強要するよう指示を出すことは一切ない」といいます。ただ、大半の店舗の運営はオーナーに任されており、別の店のオーナーは「販売目標をバイトにお願いしたことはある」と認めています。弁護士らでつくる「ブラック企業対策プロジェクト」は昨夏、全国27大学の約4700人を調査しました。バイト経験者約2500人の7割弱が勤務時間を無理に決められたり、契約時と労働条件が違ったりといった不当な扱いの経験が有るという結果です。「バイトで疲れ、学業がおろそかになる」という意見もありました。
・こうした例は以前から指摘されていましたが、小売りや飲食業ではバイトに正社員並みの役割を求める例も多く、改善が進まないのが実情です。一人暮らしの学生などは収入をバイトに頼り、辞めにくい場合があります。新年度に入り、大学側も警戒を強めています。法政大学キャリアデザイン学部では集会で、授業に支障が出ないよう注意する文書を約300人に配りました。一部の労組やNPO法人も大学などで説明会を開き、無理な勤務は拒否できることなどを訴える方針です。
►One-point
〈ブラックバイト〉
朝日新聞によりますと、学生生活と両立ができないアルバイトと定義しています。若者に過酷な働き方を強いる「ブラック企業」との関連で、大学関係者らが問題視し始めています。休憩なしの長時間労働や、研修中といった理由での最低賃金を下回る給与は、労働基準法違反などの可能性があります。自腹での商品購入を強いると、労基法や刑法違反になる場合もあるとしています。
2015年04月23日 13:55