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一般社団法人日本人材育成協会

JAPAN PERSONNEL DEVELOPMENT ASSOCIATION

ついにマクロ経済スライド実施、膨らむ年金給付を抑制!(平成27年2月9日・共同通信)

年金額の伸びを物価や賃金の伸びより抑える「マクロ経済スライド」が2015年度に初めて実施されることが決まり、年金は目減りする時代に突入することになりました。

●少子高齢化で給付が膨らみ、支え手が減る中で制度を維持させるためです。政府はさらに抑制策を強めることを検討しますが、高齢者の反発を懸念する与党内には慎重論もあります。厚生労働相は記者会見で、「マクロ経済スライド年金の長期的な安定のためにつくられた制度。今の世代と将来の世代との助け合いとご理解いただきたい」と必要性を強調しました。

►ポイント
・年金額は物価や賃金が上昇すると増えるため、従来の仕組みだと2015年度の年金は過去3年度の賃金上昇率2.3%をそのまま反映させます。しかし、マクロ経済スライドが実施されますと、現役世代の人口減少と平均余命の伸びを考慮した下げ幅を差し引いて改定します。2015年度の下げ幅は0.9%。自営業者らが加入する国民年金の月額を満額受給している人は約600円、厚生年金は67歳以下の夫婦の標準的なケースでは約2000円下がることになります。

・さらに2015年度は、現在の支給額が本来よりも高い「特例水準」を解消するため0.5%の引き下げも加わります。スライド分の0.9%との合計で下げ幅は計1.4%になります。ただ、1938年4月以降に生まれた人の厚生年金の報酬比例部分は既に特例が解消されていて、下げ幅には誕生日によってばらつきがあります。

・マクロ経済スライドは、2004年に政府、与党が「100年安心」を掲げた年金制度改革の目玉の仕組みとして導入されたものの、物価や賃金が下落するデフレ経済下では実施しない規定があり、先送りされてきました。その結果、年金の給付水準は想定より高止まりし、将来の年金財政を先細りさせる要因となっていました。厚労省は昨年、スライドをデフレ下でも実施した場合、すでに年金を受け取り始めた高齢者の給付抑制のペースが速まり、結果的に将来世代の年金の水準が下がりすぎるのを防げるとの試算を公表しました。毎年確実に給付を抑制する関連法案を今国会に提出することを目指しているところです。


2015年02月09日 11:45