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一般社団法人日本人材育成協会

JAPAN PERSONNEL DEVELOPMENT ASSOCIATION

HIV検査:「結果の労務管理利用は目的外」2審も認める!(平成27年2月9日・毎日新聞)

HIV(ヒト免疫不全ウイルス)の検査をした大学病院から陽性結果が勤務先の病院に無断で伝わり退職を余儀なくされたとして、感染した看護師が勤務先病院に約1000万円の損害賠償を求めた訴訟で、福岡高裁は、病院に115万円の支払いを命じた福岡地裁久留米支部判決を変更し、病院に61万円の支払いを命じました。

●1審判決によると、看護師は2011年8月、勤務先病院の紹介で受診した大学病院で感染が判明。看護師が知らない間に大学病院から検査結果が勤務先に伝わり、勤務する診療部門から労務管理部門にも漏れました。病院幹部から仕事を休むよう言われ、看護師は休職、2011年11月に退職しました。

●1審判決は看護師側の主張を認め「診療目的の検査結果を労務管理目的に使用したのは個人情報の目的外利用にあたる。看護師の同意がなくプライバシー侵害になる」と指摘しました。更に病院の対応について「HIVに感染していても他の労働者と同様に扱うべきで、看護師の意向を確認して今後の業務を検討しないまま就労を制限した」と違法性を認定しました。

●病院側は控訴審でも1審と同様「感染情報は目的を特定せずに入手しており目的外利用にあたらない。体調を気遣い病休を提案しただけで就労制限ではない」と主張していました。看護師は退職後、医療現場を離れ別の職場で勤務。看護師は検査した大学病院にも賠償を求めましたが、大学病院は診療情報の取り扱いについて意思確認が不十分だったと謝罪し、2013年4月、和解が成立しています。
2015年02月09日 11:30