始業前の時間外労働、7割が請求せず 医労連調査 ! (平成30年6月26日.日経新聞)
始業前の時間外労働について、医師や看護師などの約7割が残業代を請求していないことが日本医療労働組合連合会の調査で分かりました。職場に請求しにくい雰囲気があり、終業後の残業代も請求できない人が2割に上ります。医労連は労働時間の管理などの徹底を求めています。
●調査は2017年9月~2018年1月、医労連の職員が加盟する組合員の医師や看護師など1万1189人を対象に聞き取りし、結果を集計しました。全体の57%が始業前に時間外労働をしていると答え、3%は1時間以上、業務に従事していました。このうち始業前の残業代を全額請求していた人は11%で、73%は請求していませんでした。終業後の残業についても20%が「請求していない」と回答しました。残業代が請求できない理由を尋ねた質問に対し、26%が「請求できない雰囲気が(職場に)ある」と答え、「請求できると思わなかった」(11%)、「上司に請求するなと言われている」(2%)などが続いています。
●医師には正当な理由なく患者の診療を拒めない「応召義務」があり、急患などに対応する必要があるほか、診療に役立てようと自己研さんを積んでいます。看護師も夜間勤務などを伴い、それらを含めると法定労働時間や労使協定上の時間外労働の合計を超えてしまいます。このため病院側が医師や看護師の勤務時間を不正に調整し、労働基準監督署から是正勧告を受けるケースも各地で起きています。勤務医の労働組合「全国医師ユニオン」が2017年に大学病院の医師を対象に実施した調査によりますと、労働時間がタイムカードなどで客観的に管理されていると答えたのはわずか6%でした。医労連の担当者は「現場の人手不足などを背景に、病院側が責任を持って医師や看護師の労働時間を管理していない」と指摘。「労組も巻き込み、労働者も働いた分は請求するという姿勢を徹底していくべきだ」と強調しています。