最低賃金、過去最大26円上げで決着、中小・零細に影響 ! (平成30年7月26日.日経新聞)
厚生労働省の中央最低賃金審議会の小委員会は平成30年7月25日未明、2018年度の最低賃金の目安を26円引き上げ、874円にすることを決めました。2017年度を1円上回り、過去最大の上げ幅となります。上昇率は3.1%で、政府が掲げる年3%程度の引き上げ目標に沿う形となりました。大企業と比べ、賃金が低い中小企業で働く人を中心に影響が出そうです。政府は2017年3月に策定しました「働き方改革実行計画」などで最低賃金を年3%程度引き上げ、全国平均で1000円をめざすと明記しています。2017年度は政府の意向通り、ちょうど3%の引き上げで決着しました。
●最低賃金は企業が従業員に支払わなければならない最低限の時給を指します。学者や経営者側、労働者側の代表者で構成する審議会が年1回、引き上げの目安を決めています。この目安をもとに都道府県ごとに金額を決め、10月をめどに改定します。今の全国平均は848円。審議会は政府方針の3%を踏まえた議論となり、都道府県ごとの引き上げ目安は23~27円。最低賃金が最も高い東京都の目安は27円で、改定後は985円となります。2019年度にも1000円を超える見込みです。全国平均も現状のペースが続けば、2023年度に1000円を超えそうです。
●近年の傾向として、大幅に引き上げたことで、特に中小・零細企業で働く人に大きな影響が出ており、厚労省の調査によりますと、2017年度は見直しによって、従業員30人(製造業は100人)未満の事業所で働く人の11.8%が最低賃金を下回り、賃上げが必要になりました。政府が最低賃金の引き上げに力を入れる背景には、正規社員と非正規社員の賃金格差を縮める狙いがあります。日本では非正規の割合が雇用者全体の約4割を占めますが、所定内給与は正規の約6割にとどまっています。欧州では7~8割と格差が小さく、非正規の処遇改善が進めば、日本経済の底上げにつながるとの期待があります。第2次安倍政権発足以降の引き上げは、2018年度の引き上げで累計100円を超すことになります。2016年度、2017年度ともに上げ幅は25円と過去最高で推移してきました。最低賃金を上げやすい経済環境であることも追い風です。5月の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.01ポイント高い1.60倍。1974年1月以来の高水準です。今年5月の完全失業率(季節調整値)は2.2%と前月に比べて0.3ポイント低下しています。