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一般社団法人日本人材育成協会

JAPAN PERSONNEL DEVELOPMENT ASSOCIATION

希望する高齢者が70歳まで働けるよう高年齢者雇用安定法改正案発表!(令和元年5月20日.日経新聞)

政府は、希望する高齢者が70歳まで働けるようにするための高年齢者雇用安定法改正案の骨格を発表しました。企業の選択肢として7項目を挙げました。70歳まで定年を延長するだけでなく、他企業への再就職の実現や起業支援も促します。企業は努力義務として取り組まなければならなくなります。

●現行の高年齢者雇用安定法は企業に希望者全員の65歳までの雇用を義務付けており、60~64歳までの就業率は2018年に68.8%で、2013年と比べて9.9ポイント上昇しました。65歳から70歳まで働けるようになりますと、60歳代の就業率が上がるとともに経済効果も期待できます。内閣府の試算によりますと、65~69歳の就業率が60~64歳と同水準になれば、就業者数は217万人増えます。勤労所得は8.2兆円増加し、消費支出には4.1兆円のプラスとなります。政府の調査では65~69歳の高齢者の65%は「仕事をしたい」と感じています。一方で実際にこの年齢層で就業している人の割合は46.6%にとどまります。

●政府は改革によって就労を希望する高齢者が意欲的に働ける環境を整えます。2018年の15~64歳の「生産年齢人口」は前年比51万2千人減の7545万1千人です。総人口に占める割合は59.7%で、1950年以来最低となりました。30年後の2049年には約5300万人と足元から3割減ります。今回の改革は生産年齢人口の減少を踏まえ、経済や社会保障の担い手を増やすのが狙いです。

●改正案の骨格は5月15日の未来投資会議に提示しました。改正案は2020年の通常国会に提出します。安倍晋三首相は同会議で「元気で意欲のある高齢者に経験や知恵を社会で発揮してもらえるように法改正をめざします。それぞれの高齢者の特性に応じ多様な選択肢を準備する」と述べました。

●企業が取り組む選択肢の7項目のうち、同じ企業内で雇用を継続するのは3つです。
(1)定年延長
(2)定年廃止
(3)契約社員や嘱託などによる再雇用――です。

社外でも就労機会を得られるように支援します。
(4)他企業への再就職支援
(5)フリーランスで働くための資金提供
(6)起業支援
(7)NPO活動などへの資金提供――です。

●他の企業への就職支援など政府が明示した7項目には実効性が不透明なものもあります。 企業は一律に70歳までの雇用を義務付けられますと、負担増になるとの懸念があります。政府が努力義務にしたのは、その点に配慮したためですが、将来的には義務化される可能性もあります。政府は雇用制度と併せて年金制度も見直します。公的年金の受給開始年齢を70歳以降でも可能にします。その分、受給額を増やす仕組みです。高齢者の就労を促す効果を見込んでいます。
2019年05月20日 12:40