TOP

一般社団法人日本人材育成協会

JAPAN PERSONNEL DEVELOPMENT ASSOCIATION

外国人労働者 社会への適応支援が急務だ!(令和元年7月16日.読売新聞)

外国人労働者を安定的に受け入れ、社会への適応を促すことが大切です。企業や自治体の態勢をどう整えるか。議論を深めなければいけません。総務省が今月発表した統計によりますと、日本人の人口は前年に比べ43万人減りました。人口減は10年連続です。少子化の影響で今後も現役世代は先細りしています。高齢者や女性の就労機会を増やすとしても、即戦力の外国人に門戸を広げるのはやむを得ないといいます。

●改正出入国管理・難民認定法が4月に施行され、外国人就労を拡大する新制度が始まりました。新たな在留資格「特定技能」を取得した外国人は20人にとどまっており、当初の想定を大幅に下回ります。技能試験は3業種でしか行われておらず、新制度に関する送り出し国との協定締結も遅れています。準備不足との批判は免れません。採用を支援する機関に払う費用や、手続きの煩雑さを負担に感じる企業は少なくありません。短期間で転職されるのではないかとの心配もあります。政府は制度を点検し、不安解消に努めるべきです。自民、公明両党は参院選の公約で、首都圏などに外国人労働者が過度に集中するのを避ける対策や、不法滞在を防ぐための在留管理の徹底を盛り込みました。外国人が相対的に賃金の高い都市部に偏在して、地方の人手不足が解消されないとの懸念は強い。地方の求人情報を優先的に外国人に紹介し、暮らしやすさを周知することが求められます。

●物足りないのは、外国人が社会に馴染なじむための支援策です。日本に住む外国人は266万人に上り、総人口の2%を超えました。さらなる増加を見据えて、対策を急がねばなりません。与党だけでなく、立憲民主、国民民主両党も外国人との「共生」を掲げました。対策として、相談窓口の設置や、行政・生活情報の多言語での提供などを挙げているが、踏み込み不足の感は否めません。とりわけ日本語習得への支援が肝要です。地域の学習拠点を広げ、日本語教師の質を確保する必要があります。財政的な支援を含め、政府は積極的に関与すべきです。社会保険への加入やゴミ出しの方法など、日常生活に必要な知識を身に付けさせることが大事。日本語が十分理解できない子弟への目配りも欠かせません。地域と職場に順応することで、外国人は能力を十分に発揮できるのではないでしょうか。自治体や企業任せにせず、国が主導して包括的な支援策を着実に実施していくことが重要となります。
2019年07月16日 09:46