TOP

一般社団法人日本人材育成協会

JAPAN PERSONNEL DEVELOPMENT ASSOCIATION

労働者を守り切れないパワハラ指針案!(令和元年11月7日.共同通信)

職場でのパワーハラスメント防止が企業に義務付けられるのを前に、厚生労働省はパワハラの定義や、それに該当する行為、しない行為の具体例などをまとめた指針の素案を厚労相の諮問機関・労働政策審議会の分科会に示しました。大企業は来年6月から、中小企業は2022年4月から義務化されることになり、年内の指針策定を目指します。

●パワハラ被害は後を絶たない。上司から暴言を吐かれたり、暴力を受けたり。さらに人員整理や社内不正の告発、組合加入など背景はさまざまだが、目を付けられた社員がいわゆる「追い出し部屋」に追いやられ、能力や経験に見合わない仕事をさせられるケースも多くの企業で見られます。指針案も、意に沿わない労働者を別室に長期間隔離するのはパワハラに当たると指摘する。しかし一方で、処分を受けた労働者に個室で研修を受けさせるのは問題ないと例示。労働者に落ち度があれば、パワハラのような行為も許されるとも読めることから、労働者側は「パワハラを助長しかねない」と批判する声もあります。

●ほかにも多くの問題点を挙げて指針案の修正を求め、大筋で賛同している経営者側との対立が深まっています。今後、労政審での意見取りまとめは難航しそうですが、まず指針案を全面的に見直す必要があります。このままでは、弱い立場に置かれた労働者を守り切れないおそれがあります。パワハラで休職や退職を余儀なくされたり、自殺に追い込まれたりする例が尽きない中、5月に成立した改正労働施策総合推進法は「優越的な関係を背景に、業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により就業環境を害する」と、パワハラを定義。事業主に相談体制の整備など対策を初めて義務付けました。罰則を伴う禁止規定は見送られています。
2019年11月07日 09:24