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一般社団法人日本人材育成協会

JAPAN PERSONNEL DEVELOPMENT ASSOCIATION

コロナで実習生来ない、農漁業の労働力不足が深刻に!(令和2年3月26日.日経新聞)

新型コロナウイルスの感染拡大が収まらず、農業や水産加工業の現場で人手不足が深刻化してきました。日本政府が中国などからの入国を事実上制限し、春から来日するはずだった外国人技能実習生の来日見通しが立たない状況です。北海道では約8千人の実習生が食の現場を支えており、作業が本格化する春以降は作付け転換や減産といった具体的な影響が避けられないといいます。

☆JA道北なよろ(名寄市)では中国各地から外国人技能実習生約50人を4月に受け入れ、カボチャの栽培農家などで7カ月間過ごす予定でした。政府が新型コロナの水際対策で中韓両国で発行したビザを一旦無効にしたため、来日のめどが立たなくなりました。生産者はジャガイモなどの作付けを減らし、手間のかからない別の作物への転換を検討しています。

☆JAふらの(富良野市)も中国から実習生ら約20人が来日し、4~6月に収穫期を迎えるアスパラガスの選果作業にあてる予定でした。収穫後の選果が滞れば、収穫したアスパラも出荷できなくなります。やむを得ず、農協職員を残業させて選果作業にあてることも検討しています。

☆JA北海道中央会によると北海道は約1万人の外国人実習生を抱え、そのうち8割が農業や水産加工の現場を支えています。日本政府は中国や韓国、欧州、イランなどに滞在歴のある外国人は入国後に14日間の待機と公共交通機関を利用しないよう求めています。実習生の多いベトナムは感染者数は134人(24日時点)にとどまりますが、タイなどの周辺国で患者が急増しています。

☆紋別市では3月末に紋別国際交流協同組合(紋別市)を通じ、中国から約50人の実習生が水産加工会社で勤める予定でした。仮に入国制限が緩和されたとしても、現場の配属には最低でも1カ月かかります。受け入れを予定していた水産加工会社は「人手不足で出荷のピークというチャンスを逃すことになりそうだ」と肩を落としています。

☆乳牛500頭を飼育する銀河牧場(陸別町)では特定技能ビザでベトナム人1人を3月に迎え入れる予定でしたが、延期を決めました。東南アジアでも新型コロナが広がっていることを踏まえ、万が一にも生産現場に感染が広がらないよう念には念を重ねました。

●ビザの発給遅れに加え、実習生をとりまとめて送り出してきた海外の実働機関が休業していたり、相次ぐ国際線の運休で飛行機のチケットが取れなかったりする逆風もあります。仮に入国できたとしても政府が要請している14日間の待機が続けば、実習にあてられる期間はその分減ってしまいます。外国人技能実習生は後継者不足の農家や水産加工の企業にとっては欠かせない労働力として現場を支えてきました。必要な労働力にメドが立たないまま、かき入れ時となる春の農繁期や漁期は刻一刻と迫っています。
2020年03月26日 12:31