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一般社団法人日本人材育成協会

JAPAN PERSONNEL DEVELOPMENT ASSOCIATION

労務管理TOPICS

デジタル給与 安全性の確保に懸念がある!(令和3年3月1日.読売新聞)

政府が、銀行を通さずに給与をスマートフォンの決済アプリに振り込む「デジタル払い方式」を検討していますが、問題が多いといいます。拙速を避け、徹底した影響の検証が不可欠となります。労働基準法では、賃金を確実に受け取れるよう、企業は「通貨で直接労働者に全額を支払う」と定めています。金融機関の口座への振り込みは例外として認めてきました。

●デジタル払いはキャッシュレス化の推進が主な目的で、厚生労働省の審議会で論議されています。日本での口座開設が難しい外国人労働者の就労環境を整えることも狙いとしていますが、そうした措置を一般の国民にも広げることが適切と言えるのでしょうか。給与は多くの人にとって重要な生活の基盤です。何より、安全性の確保を最優先する必要があります。デジタル払いの受け皿と想定されるのは、電子マネー業者のうち送金が可能な資金移動業者で、「PayPay(ペイペイ)」などが該当するとみられています。銀行には、公的な預金保険制度があり、経営破綻した場合でも元本1000万円などが保護され、迅速に支払われます。他の事業が行き詰まった時に預金に損害が及ばないよう、本業以外を厳しく制限する規制があります。こうした安全対策は、いずれもスマホ決済などの資金移動業者は対象外となっています。

●NTTドコモの「ドコモ口座」を巡る不正引き出しなど、電子マネーを狙った犯罪が相次いでいることも不安視されています。アプリのお金が守られるのか、支払いが遅れることはないか。資金移動業者が手がける他の事業が破綻して、給与に波及する事態も心配です。こうした懸念を解消することが先決となります。また、出資法では、資金移動業者は預金のような資金の預かりは禁じられ、決済用の一時的な滞留が認められているだけです。数十万円単位で給与が振り込まれると、事実上、預金と同じになりますが、扱いは現時点ではっきりしません。多くの給与がデジタル払いに移行すれば、銀行の収益基盤が奪われてしまいます。個人のお金を預かって企業に貸し出す「金融仲介機能」が損なわれかねません。経済全体への影響は大きものとなります。しかし、厚労省の審議会は労使の代表や学者で構成され、銀行などからメンバーは入っていません。国民生活に重大な影響を及ぼす給与の取り扱いを変更するのであれば、もっと総合的、多角的に議論を尽くす必要があります。
2021年03月01日 09:15

ハローワーク職員1万人以上、雇い止めの可能性!(令和3年2月25日.京都新聞)

全国のハローワーク職員の7割を占める非正規職員が年度末に大量雇い止めになる可能性が高いとして、非正規職員の有志グループが、安定雇用の確保など改善策を求める田村憲久厚生労働相宛ての要請書を、2万2000筆の署名とともに提出しました。

●有志グループによりますと、各地の労働局やハローワークを含む厚生労働省の非正規職員は2万7000人を超えます。3年ごとに公募採用が繰り替えされるため、本年度末もハローワークの窓口で労働相談に乗っている1万人以上が雇い止めされる可能性があるといいます。

●要請書は「労働行政は高い専門性と職業意識を持つ非正規職員なくしては機能しないことがコロナ禍対応で明らかになった」と指摘。基幹業務を担う非正規職員の雇用の安定や、更新採用プロセスの透明性の確保など、非正規職員を巡る制度の抜本的改革を強く求めています。

●有志グループは「雇い止めになっても理由は告げられない。正規職員が気に入らない非正規職員を追い出す口実に使われることも少なくない」と指摘。「多くのハローワーク職員が3月31日まで求職者の相談に乗り、翌日からは失業者として求職カウンターに並ぶことになりかねない。当局は直視し、改善してほしい」としています。
2021年02月25日 12:46

正社員と非正規の通勤手当、企業の2割で差 熊本労働局調査!(令和3年2月22日.熊本日日新聞)

熊本県内の企業の2割で正社員と非正規従業員の通勤手当支給に差があることが、熊本労働局の調査で明らかになりました。正規と非正規の「不合理な待遇差」を禁止する「同一労働同一賃金」のガイドラインは、通勤手当について原則、同一支給を求めています。

●同一労働同一賃金を定め、昨年4月に施行された「パートタイム・有期雇用労働法」は今年4月から、中小企業にも適用されます。労働者が待遇差の説明を求めれば、企業は応じる義務があります。労働局が昨年11~12月、県内に本社機能がある企業に自主点検表を配って調査したところ、非正規従業員がいる546社のうち20・0%に当たる109社が、通勤手当の待遇が違うと回答。109社中33・9%の37社は、待遇の違いを「説明できない」と答えました。

●病気休暇制度も13・9%の76社で待遇差があり、このうち19社は理由を説明できないと答えました。労働局雇用環境・均等室は「合理的な説明ができない場合は、不合理な待遇差と判断される可能性がある」と指摘。具体的な対応法などの相談に応じています。
2021年02月22日 09:41

都水道局、残業代未払い、労基署が是正勧告!(令和3年2月18日.時事通信)

東京都水道局が一部の職員への残業代が未払いだったとして、新宿労働基準監督署(新宿区)から是正勧告を受けていたことが令和3年2月15日、分かりました。同局は3000人以上いる全職員を対象に実態調査する方針です。

●水道局労務課によりますと、同労基署は昨年10月、本庁に勤務する一部職員に対する未払いの残業代を支払うよう勧告。該当する職員の数や未払いの額などは明らかにせず、本庁職員について過去1年間の残業代の支払い状況を調査するよう求めました。これを受け、同局は本庁だけでなく支所など出先機関も含め、全職員への調査を進める。担当者は「できるだけ早期に完了させ、対応したい」と話しています。
2021年02月18日 09:24

道警、労働局職員を逮捕 労災補償巡り詐欺未遂容疑!(令和3年2月16日.河北新報)

北海道警岩見沢署は令和3年2月16日、労災保険の障害補償を請求した男性に、障害等級が上がり給付金が増額されたのは医師のおかげで謝礼を払う必要があるとうそをつき現金をだまし取ろうとしたとして、詐欺未遂容疑で厚生労働省北海道労働局職員の三塚健一容疑者(64)=江別市豊幌花園町=を逮捕しました。

●逮捕容疑は岩見沢労働基準監督署の労災保険給付調査官だった昨年10月、医師への謝礼とうそを言い、障害補償を請求した男性(37)から現金40万円をだまし取ろうとした疑いです。男性が同11月、岩見沢署や岩見沢労働基準監督署に相談し発覚しました。
2021年02月16日 13:55

落雷事故で2人死亡きっかけに発覚 労基法違反の疑いで48歳男性を書類送検!(令和3年2月16日.長野放送)

長野県小諸市で去年8月、外国人労働者2人が農作業中に雷に打たれて死亡した事故。小諸労働基準監督署は令和3年2月15日、この事故を端緒に捜査した結果、雇い主の48歳の男性が、外国人労働者を雇う際に賃金や労働時間などの条件を明示していなかった疑いがあるとして、労働基準法違反の疑いで長野地方検察庁佐久支部に書類送検しました。

●雇い主の男性は、落雷事故で亡くなったスリランカ国籍の男性とタイ国籍の女性の他にも2人の外国人労働者を雇っていたということです。小諸労働基準監督署は、落雷で死亡したことについては、安全に労働に当たるよう指導したということです。
2021年02月16日 12:05

給与デジタル払い今春に政府解禁、銀行口座介さず 資金保全など条件!(令和3年2月15日.日経新聞)

政府は今春から企業が給与を銀行口座を介さずに支払えるようにする方針です。

●従業員のスマートフォンの決済アプリなどに振り込む方式を認める予定です。利用者は銀行からお金を引き出す手間がなくなります。遅れていた日本のキャッシュレス化を進める契機になりそうです。給与振込口座を起点に預金を集める従来の銀行のビジネスモデルに影響をもたらす可能性もあります。
2021年02月15日 09:26

「労組支部事務所への捜査は違法」大阪府に11万円賠償命令、大阪高裁!(令和3年2月9日.毎日新聞)

大阪府警の捜査が違法だとして、労働組合が1100万円の賠償を府に求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁は、請求を退けた1審判決を変更し、府側に11万円の賠償を命じました。中村也寸志裁判長は捜索令状の請求が違法だったと認定しました。

●訴えたのは全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部(大阪市)。判決によりますと、府警は2015年、国の許可なくバスに有償で客を乗せた道路運送法違反の疑いで、同支部事務所などを関係先として捜索しました。支部側は捜索令状の請求要件を欠いたと主張しましたが、2020年7月の大阪地裁判決は請求を棄却しました。

●高裁判決は、バスの運行は一時的なもので、府警が同法違反の疑いがあると判断したのは合理的と言えないと指摘しました。府警は「判決内容を精査し、今後の対応を検討したい」とのコメントを出しています。
2021年02月09日 09:13

熊本県警、当直を労働時間から除外 過労死ライン超え続け、巡査遺書残し死亡!(令和3年2月8日.毎日新聞)

熊本県警が2020年11月まで、警察署の当直勤務を労働時間から除外する運用をしていたことが、県警への取材で明らかになりました。当直勤務中も事件事故などに対応しますが、県警は国が「ほとんど労働する必要のない勤務」に限り労働時間に算入しないことを認めている「断続的労働」とみなしていました。長時間労働の末に2017年に自殺した県警玉名署巡査の死を巡り、地方公務員災害補償基金が認定した時間外労働と同署の算定に最大で月約50時間の開きがあることも判明しましたが、当直を労働時間から除外していたのが一因でした。

●死亡した渡辺崇寿(たかとし)さん(当時24歳)は2012年に高校卒業後、警察官となり、玉名署に配属。自動車警ら係などを経て17年4月に刑事課に配属されましたが、同9月11日、遺書を残して命を絶ちました。2020年11月に自殺が公務災害に当たると認定した地方公務員災害補償基金が21年1月、遺族に開示した認定文書などによりますと、渡辺さんは週1回のペースで当直勤務(平日は午後5時15分~翌午前8時半、休日は午前8時半から翌午前8時半)に入っていました。ところが、県警は渡辺さんに限らず、当直勤務について、手当は支給するものの、労働基準法が原則「週40時間まで」と定めて規制する労働時間には含めていませんでした。県警は基金の調査に対し、労働時間に含めなかった理由について、県の規則で当直が「断続的労働」と規定されているためと説明していました。

●国は通達で「断続的労働」を「構内巡視や文書電話の収受など、常態としてほとんど労働をする必要がない勤務」と定義し、労基法は労働時間に算入しないことを例外的に認めています。ただ、警察署では当直勤務中も事件の初動捜査や検視、事故対応などがあり、遺族側によると、渡辺さんも17年4月から死亡する9月までに入った21回の当直のうち16回で、事件や事故の対応に当たっていました。基金も、渡辺さんが当直勤務中に「基本的にずっと仕事をしていた」といった複数の同僚証言などを基に、休憩と5時間の仮眠以外は労働時間に当たると判断しました。その結果、渡辺さんが刑事課に配属された2017年4月以降の時間外労働の概算は、基金と玉名署の間で、4月=基金135時間(玉名署80時間)▽5月=112時間(96時間)▽6月=116時間(71時間)▽7月=163時間(143時間)▽8月=116時間(88時間)――と大きな開きがあり、基金の認定では5カ月連続で「過労死ライン」とされる月100時間を超えていました。
2021年02月08日 08:50

九大教授の急死を労災認定 損害賠償求め、妻ら法人提訴!(令和3年2月5日.朝日新聞)

九州大学大学院教授の50代男性が急死したのは過重な業務が原因だったとして、福岡中央労働基準監督署が労災認定したことがわかりました。男性の妻らは2月4日、労働環境を整備する義務を怠ったとして、九大を運営する法人に約8400万円の損害賠償を求め、福岡地裁に提訴しました。

●代理人弁護士によりますと、タイムカードがないなど勤務時間を把握しにくいことが多い大学教員の死亡について、過重労働による労災が認定される事例は珍しいといいます。男性の妻は取材に「九大を憎いとは思っていない。夫の死を無駄にしたくない。二度と同じようなことが起きないように、(提訴が)夫が好きだった九大が変わるきっかけになってほしい」と話しています。

●訴状などによりますと、労災が認定されたのは2018年1月25日。男性の専門分野は理系で、2014年、学内で突然体調を崩し、救急搬送された病院で大動脈解離のため死亡しました。
2021年02月05日 09:42