TOP

一般社団法人日本人材育成協会

JAPAN PERSONNEL DEVELOPMENT ASSOCIATION

労務管理TOPICS

過労死ライン未満でも労災、労基署が判断見直す 深夜勤務など考慮!(令和3年12月23日.朝日新聞)

居酒屋チェーン「庄や」などを展開する大庄(東京都)の調理師だった男性(62)が、脳内出血になり後遺症が残ったことの労災認定をめぐり、残業が平均月80時間などの過労死ラインに満たないとしていったんは労働基準監督署に退けられたものの、その後、一転して労災と認定されていたことがわかりました。過労死ラインだけではなく、身体的負荷などの要因も含めて総合判断するよう9月に改定された新基準に基づく判断。厚生労働省によりますと、労災を認めない決定が取り消され、新基準で認められたのは全国で初めてといいます。

●男性の代理人の松丸正弁護士によりますと、男性は2008年に調理師として採用され、2015年2月から千葉県柏市内の庄やで勤務。翌2016年1月の勤務中に脳内出血を発症して救急搬送されました。男性は同年3月に労災申請しましたが、柏労基署は、残業時間が過労死ラインに満たないことから労災だと認めませんでした。過労死ラインは、労災認定の際、長時間労働が発症の原因といえるかを判断する目安。①直近1カ月で残業100時間②直近2~6カ月で残業が平均80時間――などとされますが、過酷な労働実態が反映されずに不認定となるケースが頻発。脳・心臓疾患の労災認定率は近年低下傾向にあり、残業が月80時間未満で労災認定されたケースは2020年度では認定された案件の1割にも満たしませんでした。

●労働問題に詳しい弁護士らによりますと、過労で倒れた本人や遺族らが、過酷な勤務実態から労災にあたるはずだと考えても、残業時間が過労死ラインにわずかに足りないため、労災申請自体をためらう例が少なくなかったといいます。そこで、厚労省は9月、残業時間が過労死ラインに近ければ、休日のない連続勤務や深夜勤務の多さ、身体的負荷などを総合的に考慮し、労災を認定できると基準に明記しました。この新基準で、労災認定の件数が増えると期待されています。

●これをうけて、柏労基署は今月6日、男性の残業時間の平均が直近2~6カ月では最大約75時間半だったとした上で、「改正認定基準により評価し直した結果、過重業務による負荷が認められる」と判断。6年越しに労災を認めました。柏労基署は男性側に「過労死ラインに近い残業時間に加えて、不規則な深夜勤務などの負荷を総合考慮した」と説明したといいます。厚労省は松丸弁護士の照会に対して、労災の不認定が取り消され、新基準に基づいて認定されたのはこのケースが全国で初めてだと認めています。大庄は「現在そのような事実を承知しておらず、コメントする立場ではない」としています。
2021年12月23日 09:42

労災保険料の算定方法、見直しへ 厚労省、医療者のコロナ認定増で!(令和3年12月23日.毎日新聞)

厚生労働省は、新型コロナウイルスに感染した医療従事者らの労災認定が増加していることを受け、労災保険料の算定方法を特例で見直す方針を固めました。労災保険料率は労災認定された給付額などを基に事業所ごとに決められており、従来の算定基準では医療・介護分野の事業所で保険料率が高くなることが想定されるためです。

●厚労省によりますと、2020年度の新型コロナ関連の労災給付件数は6457件。このうち、医療関係が59・4%、介護関係が24%と全体の8割以上を占めています。保険料率は過去3カ年の保険料率に対する給付額の割合に応じ増減する仕組みで、給付額が多ければ保険料率に跳ね返ります。このため、感染症で労災認定された人については全業種で労災保険料の算定から外す方向で調整しています。医療従事者や介護従事者は業務で新型コロナに感染するリスクが高い一方、感染経路を捉えにくいため、厚労省は昨年4月に労災認定の要件を緩和しています。
2021年12月23日 09:33

労働者負担増、先送りへ 雇用保険料巡り政府、自民!(令和3年12月20日.共同通信)

政府、自民党は12月19日、当初検討していた来年4月からの雇用保険料引き上げに関し、労働者が負担する分の料率アップを来年秋以降に先送りする方向で調整に入りました。

●新型コロナの感染拡大を受けた雇用調整助成金(雇調金)の支給急増で保険財政が厳しくなったため、政府は引き上げる方針でした。ただ、幅広い負担増に対し、来年夏の参院選への影響を懸念する自民党内から慎重論が出ていました。複数の関係者が方針転換の姿勢を明らかにしました。

●12月22日の厚生労働相と財務相の予算折衝で正式に決定します。労使代表で構成する厚労省の審議会の意見も踏まえ、来年の通常国会に雇用保険法などの改正案を提出します。
2021年12月20日 09:43

県立西宮病院で違法長時間労働 労基署が是正勧告!(令和3年12月17日.神戸新聞)

兵庫県立西宮病院(西宮市)が労働基準法で定められた休憩時間を職員に与えていなかったとして、西宮労働基準監督署から是正勧告を受けたことが分かりました。

●病院側は「医師や看護師が当てはまる」と説明。休憩なしの長時間勤務は常態化しており、専門家は「医師不足を背景に多くの公立病院で長年放置されてきた問題。働き方改革を急ぐべきだ」と指摘しています。勧告は7月15日付。6、7月に労基署が調査し、休憩を取れず連続勤務していることが判明しました。労基署は是正勧告書の対象を「一部の職員」として職種や人数を特定していません。

●同病院の就労時間は原則8時間45分で、うち1時間が休憩とはなっていますが、長時間に及ぶ手術が多い上、救急患者が相次ぐ日もあり、医師や看護師が規定通り休憩を取るのは難しいといいます。病院は「休憩時間に働いた分は割増賃金として超過勤務手当を支払っている」とし、不払い残業は認定されませんでした。病院は是正勧告を受け、適切な休憩時間を確保するよう各部署へ通知しましたが、8月以降も休憩を取れていない医師らは複数いるといいます。担当者は「勧告を重く受け止めている。勤務シフトや業務分担を調整し、改善に努める」としています。

●同病院は2017年にも非常勤嘱託職員2人に残業代や深夜勤務の割増賃金を支払わなかったとして、是正勧告を受けています。過酷な長時間労働にさらされている勤務医を巡っては、働き方改革を進める改正医療法が5月に成立。2024年度から罰則付きの残業規制が適用され、一般の医師は「年960時間」が上限となります。新型コロナウイルスの影響で医療現場の負担は増しており、労働環境の改善は急務となります。法改正には、「一歩前進」という評価がある一方、地域医療を担う病院や、集中的に経験を積む必要がある研修医については特例で「年1860時間」まで認められ、過労死遺族から「実効性がない」との批判も出ています。
2021年12月17日 09:42

両性愛を告白の尼崎市職員に指導「市民に明かすのは不適切」失望し退職!(令和3年12月17日.神戸新聞)

両性愛を告白の尼崎市職員に指導「市民に明かすのは不適切」失望し退職!(令和3年12月17日.神戸新聞) 兵庫県尼崎市保健所の幹部が2019年、同保健所に所属するバイセクシュアル(両性愛者)の指向がある30代の男性職員に対し、「不快に思う市民がいる」との市民団体の指摘があったとして、「性的指向を市民に明かすこと(カミングアウト)は公務員として不適切」と指導していたことが、同市や関係者への取材で分かりました。男性は「社会の無理解を行政が容認した形でショックだった」として依願退職していました。

●尼崎市は阪神間の6市1町と足並みをそろえて、LGBTなど性的マイノリティー(少数者)のカップルを婚姻に相当する関係と公認する「パートナーシップ宣誓制度」を導入。同市が組織として権利擁護を掲げる中、退職した男性への対応を疑問視する声が内部からも出ていました。関係者らによりますと、2019年秋、保健所の幹部宛てに市民団体から文書が届きました。名前は伏せられていましたが男性と特定できる形で、男性が担当する公務に不満を示し、「性的発言があった」とも記載。団体関係者が保健所幹部に「男性から性的指向を打ち明けられて不快な思いをした市民がいる」と訴えたといいます。

●これを受け、保健所幹部は男性が所属する職場の数人に、男性の言動を確認するよう指示。男性が職場でも性的指向を明かしていたと把握しました。同年12月中旬、幹部ら3人との面談で、男性は「市民の1人から結婚観を何度も聞かれ、話を終わらせたくて(性的指向を)正直に答えたことがある」と説明。これに対し幹部は「性的マイノリティーへの理解は市民全員に浸透していないので、公務員として私的な発言は控えるべきだ」などと、カミングアウトを控えるように求める趣旨を伝えていました。男性は面談から3カ月後の2020年3月末に退職しました。

●取材に対して男性は経緯を認めた上で、「市は自分の性的指向を『不快』とした団体側に何の意見もせず、それが悪いことであるかのように一方的に注意された。納得できず退職を決めた」と語っています。面談した幹部は「LGBTや性的指向を明かすこと自体を否定する意図は全くなかったが、市民団体側もかなり動揺していたので公務員の一人として考えを伝えた。優秀な人材が退職してしまったのは残念」と話しています。尼崎市は今年3月、職員と市民向けにそれぞれ啓発用の冊子「性の多様性への理解を深めるサポートブック」を作成。カミングアウトしても安心できる職場環境づくりを求めていますが、当事者の職員が市民に行った場合の対応については記載がありませんでした。
2021年12月17日 09:27

聴覚障がい者の逸失利益…被告は一般労働者の60%主張!(令和3年12月16日.MBSnews)

聴覚支援学校に通っていた子どもが死亡した事故での損害賠償をめぐる裁判。原告側は亡くなった児童が将来得られるはずだった収入について「人間の尊厳に基づいて算出すべき」などと主張しました。

●2018年、大阪市生野区で聴覚支援学校に通っていた井出安優香さん(当時11)が重機にはねられて死亡しました。両親は、重機を運転していた男と当時の勤務先を相手取り、安優香さんが将来得られるはずだった収入(逸失利益)を含めて約6000万円の損害賠償を求めています。これまでの裁判で、被告側は『聴覚障がい者は学力の遅れや就労の難しさがある』として、逸失利益は「聴覚障がい者の平均賃金(一般労働者の平均賃金の約60%)」で算出すべきと主張。

●これに対して原告らは令和3年12月15日、「雇用機会や待遇は平等に確保する義務があり人間の尊厳を考慮すべき」「“どうして安優香が悪いの”と幻聴とも言える娘の声が耳から離れません。娘の11年間の努力と将来を否定されて、私たち家族の精神的苦痛は増すばかりでした」などとして、被告の主張は差別だと反論しました。
2021年12月16日 10:05

“男性の育休認めない”法令違反15社に行政指導 奈良労働局!(令和3年12月14日.NHKnews)

奈良労働局は男性の育児休業の取得を促すための法改正が行われたことから育休に関する相談件数をまとめたところ今年度の上半期では128件の相談がありました。

●具体的には、育児休業制度の内容に関するものが50件、次いで、男性の育休取得に関するものが49件、などとなっています。なかには、男性の労働者が育休を取得しようとしたところ「前例がなく特別扱いできない」と言われたケースや、育休後に望まない部署への配置転換など不利益な取り扱いを受けたケースがあったということで、労働局は法令違反が確認された15社に対し、行政指導を実施したということです。

●男性の育児休業を認めないなど、育児休業に関して行政指導が行われた事業者は、今年度の上半期で15社にのぼり、労働局は育児休業を取得しやすい職場環境の整備を呼びかけています。育休については男性の取得を促すための法改正が行われ、来年4月からは各事業者に対して育休に関する研修を行ったり相談窓口を設置したりすることが求められます。労働局は、改正法の施行を前に、県内の各事業者に対し、育休を取得しやすい環境の整備に取り組むよう呼びかけています。
2021年12月14日 09:31

医師残業、年1860時間 上限定める省令案了承!(令和3年12月14日.共同通信)

医師の働き方改革を巡り、厚生労働省の労働政策審議会分科会は、勤務医の残業時間の上限を原則年960時間、地域医療を担う医療機関などで、長時間労働を避けられない場合は年1860時間とする省令案を了承しました。

●同省の有識者検討会の中間取りまとめを踏まえた案で、同省は労働基準法施行規則の一部改正などを行います。施行は2024年度から。年1860時間の適用対象には研修医が所属する医療機関なども含まれ、各医療機関は事前に都道府県から指定を受ける必要があります。政府は今年5月に医療法などを改正。年1860時間の適用対象となる医療機関に、医師の連続勤務の制限などを義務付けました。
2021年12月14日 09:19

神職7人が神社の上司を提訴「パワハラで精神的苦痛」長崎地裁!(令和3年12月13日.毎日新聞)

パワーハラスメントにより精神的苦痛を受けたなどとして、長崎市上西山町の諏訪神社の権祢宜(ごんねぎ)7人が12月10日、上司にあたる祢宜2人に対し、慰謝料など計880万円の支払いを求め長崎地裁に提訴した。原告側の代理人弁護士が明らかにしました。

●訴状などによりますと、権祢宜は祢宜から日常的に「ばか」などと大声で叱責された他、セクハラ疑惑で辞任を求められている男性宮司の「続投」を県神社庁に嘆願した際は、「許さん」と威圧されたとされます。権祢宜の一人はパワハラにより「心因反応」などと診断されたといいます。宮司のセクハラ疑惑を巡っては、被害者の女性が近く損害賠償を求めて長崎地裁に提訴する方針です。
2021年12月13日 10:16

パナソニックで工場社員自殺持ち帰り残業含む長時間労働、責任認め和解!(令和3年12月7日.朝日新聞)

電機大手パナソニックで働いていた富山県の男性(当時43)が2019年に自殺しました。同社は、過大な仕事量や「持ち帰り残業」を含む長時間労働を正さずにいた結果、男性がうつ病を発症して死に至ったとして遺族に謝罪し、解決金を支払うことなどで令和3年12月6日、和解が成立しました。

●労働基準監督署は自宅に持ち帰った仕事を会社の指示とは認めませんでしたが、同社は独自調査で会社の責任を認めました。企業が裁判を経ず、持ち帰り残業を労働時間と認めるのは異例といいます。遺族や代理人の松丸正弁護士(大阪弁護士会)によりますと、亡くなった男性は死亡当時、パナソニックの半導体事業を担うインダストリアルソリューションズ社の富山工場(富山県砺波市)で技術部の課長代理を務めていました。男性は2003年から工場で派遣社員として勤務し、2009年に正社員になりました。2019年4月に製造部から技術部に異動し、係長から課長代理に昇格。仕事内容が大きく変わって業務量も増え、職場では仕事を終わらせることができず、業務用パソコンを自宅に持ち帰って仕事をしていたといいます。男性は2019年10月、自宅で死亡しました。砺波労基署(砺波市)は2021年3月、遺族側の請求に基づき、配置転換や仕事内容の変化・増大により男性が強い精神的負荷を受け、うつ病を発症したとして労災を認定。一方、持ち帰り残業について「会社からの業務命令によるものではなく、黙示の指示があったとする実態も認められない」などと指摘し、労働時間に該当しないと判断しました。

●厚生労働省は2017年、労働時間の認定にあたっては、労働者の行為が客観的にみて会社や上司の指揮命令下にあったといえるかどうかなどで判断するとしたガイドラインを作りました。持ち帰り残業について同省は「仕事を持ち帰って行うことを義務付けられていたか、余儀なくされていたことが確認された場合に労働時間と評価する」と説明しています。パナソニックは、男性が自宅に持ち帰っていた業務用パソコンのログなどを独自に調査。自宅での作業についても、業務上、余儀なくされていたものだったと認定し、労基署の判断よりも踏み込んだ形で会社の責任を認めました。過大な仕事内容・仕事量に加え、持ち帰り残業を含む長時間労働を是正するなどの安全配慮義務を会社が怠った結果、男性が亡くなったと認め、遺族に謝罪しました。同社は和解にあたり、持ち帰り残業を含む労働時間の正確な把握のほか、業務量の適正化や社員間でのコミュニケーションの見直し、研修・面談などの対策をとる考えを示しました。遺族側代理人の松丸弁護士は和解内容を「過労死問題に対する社会の厳しい視線を反映した判断といえる」と評価。「国が採用している労働時間の考え方が、働く現場の実態を反映しきれていないことが浮き彫りになりました。当事者企業の対応が国の対応を追い越したケースだ」と話しています。パナソニックでは2016年にも砺波市の工場で当時40代の男性社員が自殺し、長時間労働が原因として労災認定されています。同社は2018年、労使協定を超える違法な時間外労働をさせたとする労働基準法違反の罪で略式起訴されました。同社は取材に「亡くなられた社員に謹んで哀悼の意を表すると共に、ご遺族の皆様に衷心よりおわび申し上げます。弊社として再発防止に向けた取り組みを徹底して推進してまいります」とするコメントを出しました。
2021年12月07日 09:29