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一般社団法人日本人材育成協会

JAPAN PERSONNEL DEVELOPMENT ASSOCIATION

労務管理TOPICS

セブンイレブン店主ら、「労働者」ではない判断に落胆!(平成31年3月18日.日経新聞)

コンビニエンスストアのオーナーは労働者なのか。コンビニの24時間営業に世間の関心が集まる中、業界にとって注目の判断が下されました。

●労働組合と使用者の間の労働争議を調整する中央労働委員会は平成31年3月15日、セブン-イレブン・ジャパン、ファミリーマートとそれぞれ加盟店契約(フランチャイズ契約)を結んでいるオーナーらが「会社側が団体交渉に応じなかったことは不当労働行為だ」として救済を申し立てていた事件について、オーナーらの申し立てを棄却する命令を出しました。命令の中で中労委は「加盟者(オーナー)は、独立した小売事業者であって、労働契約に類する契約によって労務を供給しているとはいえない」「加盟者は、会社から労働供給の対価として報酬を受け取っているということはできず、加盟者の事業者性は顕著である」などとし、「加盟者は労働組合法上の労働者に当たると評価することはできない」と判断しました。

●セブンーイレブンやファミリーマート、ローソンといったコンビニの店舗の多くは、オーナー個人が独立事業者としてコンビニ本部とフランチャイズ契約を結び、運営されています。ただ、巨大企業であるコンビニ本部と比べて個人事業主であるオーナーの力は弱く、オーナー個人が本部を相手に運営条件の交渉を行うのはなかなか難しい現状です。そこで、約100人のコンビニオーナーは「コンビニ加盟店ユニオン」を結成。加盟店は労働組合法上の労働者であると認めるよう労働委員会に申し立ててきました。もしオーナーらが労働者であると認められれば、コンビニ本部に対して団体交渉を申し入れることができ、本部側は交渉に応じなければならなくなります。最初に申し立てを受けた岡山県と東京都の労働委員会は、2014年3月と2015年4月にそれぞれオーナー側の主張を認め、会社側に団体交渉を行うよう命じていました。しかし、これを不服とする会社側の申し立てを受けた今回の中労委の再審査では、それをひっくり返す判断を下しました。
2019年03月18日 08:50

味の素、所定労働7時間の目標取り下げ!(平成31年3月14日.日経新聞)

味の素は平成31年3月13日、2020年度の目標として掲げていました、1日の所定労働時間7時間達成の目標を取り下げました。

●これまで年間の総実労働時間1750時間を目標に労働時間短縮を進めてきましたが、2018年度時点ですでに約1800時間まで短縮しており、効率的な働き方の浸透に「一定の効果があった」としています。今後は数字目標でのさらなる時間短縮を目指すのではなく、より会社の成長につながる業務を推進する形に移行する方針です。

●春季労使交渉で合意しており、働き方の見直しで浮かせた時間を労働時間の削減とみなすのではなく、より革新的な商品・サービスの開発や、経営の新たな柱となる新事業の確立などに振り向けてほしいという狙いがあります。
2019年03月14日 09:19

残業抑制へ新規雇用、中小企業に最大600万円助成!(平成31年3月12日.日経新聞)

厚生労働省は、働き方改革に合わせ残業時間を抑える目的で中小企業が新規に従業員を雇った場合、最大600万円を支給する制度を4月から導入します。

●1人あたり60万円で、1企業につき10人分が上限となります。4月に施行する働き方改革法で残業時間に上限規制が導入されるため、中小が対応できるよう新規採用を助成金で支援する方針です。

●厚労省は雇用保険法の施行規則を改正し、人材確保のための助成金制度で「働き方改革支援コース」を新設します。
2019年03月12日 09:03

医師の当直、どこまで労働時間 厚労省、基準を明確化へ!(平成31年3月11日.朝日新聞)

勤務医の残業規制の枠組みを年度末までにまとめるのを控え、厚生労働省は労働時間を適正に把握できるよう、当直や学習・技術習得のための研鑽(けんさん)について、どこまでが労働時間かを明確にする方針を決めました。ずさんな勤務管理状況を改善し、違法残業の減少をはかる。4月にも通知を出し、抜本的に見直します。 

●医療機関を含め、企業は労働時間の客観的な把握が求められ、4月から法律で義務化されます。しかし、勤務医の当直や研鑽は、どこまで労働に当たるか不透明な部分もありました。入院患者対応のため、病院は夜間や休日に医師の当直が義務づけられています。待機時間も原則、労働時間となり、残業が大幅に増えて割増賃金も生じます。しかし軽い業務しかなく一定の基準を満たせば、国の許可を受けて、待機時間を労働時間から外すことができます。

●今の許可基準は70年前のもので、軽い業務の例には、定時巡回や少数の患者の脈や体温の測定しかあげられていません。基準を満たすことが、ほぼありえない状況でした。現状は、多くの病院で当直医が外来患者も診ています。患者が多いのに許可を受けていたり、許可を受けずに労働時間から外したりする病院もありました。厚労省は基準を見直し、少数の入院患者の診察や、想定されていない外来の軽症患者を診ることを軽い業務に含める方針です。対象を明確にして不適切な運用をなくす狙いがあります。
2019年03月11日 09:06

日立、実習計画の賃金満たさず昇給・賞与規定もなし!(平成31年3月7日.朝日新聞)

日立製作所とグループ会社計11社が昨年、国の監督機関「外国人技能実習機構」から数々の技能実習適正化法違反を指摘されていました。グループで30万人を雇い、経団連会長を出している日本有数のグローバル企業の足元で、実習生を不正に働かせていた実態が明らかになりました。日立と系列10社に技能実習業務で違反として改善勧告・指導がおこなわれました。 

●明らかになった改善勧告書では日立製作所大みか事業所(茨城県日立市)で、実習生の賃金が昨年7月段階で、日立と技能実習生が結んだ労働契約で定め、実習計画に記した賃金に達していないと指摘していました。社員の賃金規則には昇給や賞与の規定があるのに、実習生にはなく、「日本人と同等の待遇となっていない」とも言及し、法令順守の徹底を求めています。また改善勧告を受けたグループ企業の中には、東証1部上場企業である日立金属や日立ハイテクノロジーズが含まれています。朝日新聞は昨年6月、日立アプライアンス多賀事業所(日立市)について不正実習の疑いがあることを、親会社である日立製作所に取材で指摘しました。しかし、同社は「(技能が学べない)不適合は生じていない」と否定。しかし、翌月に実習機構の実地検査で、必須作業の外注などの不正が判明しました。同社広報・IR部は2月下旬、「不適合なし」と昨年答えた理由について、「コメントしない」としています。

●日立製作所笠戸事業所(山口県下松市)にも昨年7月以降、実習機構に加えて法務省、厚生労働省が複数回、実地検査に入っています。関係者によりますと、検査では両省の幹部らが「実習計画にない窓付けの作業をさせているではないか」と現場で指摘しましたが、日立は「不正はない」との立場を崩していないといいます。この間、実習生がしわ寄せを受けています。実習不正があるとみる国は、笠戸での実習計画や実習生の査証(ビザ)更新を認めず、日立は昨年10月から計99人の実習生を相次ぎ解雇した。同社の中西宏明会長は昨年10月の記者会見で「実習生のビザが変更されたので、就労させると違法になるので、違法を避けるため、とりあえず解雇した。笠戸での技能実習に違法性はないと信じている。」などと説明していました。
2019年03月07日 10:08

エーザイ元部長の自殺を労災認定、長時間労働でストレス!(平成31年3月7日.朝日新聞)

製薬大手エーザイ(東京)の部長だった男性(当時50)が自殺したことについて、天満労働基準監督署(大阪)は、部長昇進にともなう長時間労働などによる強いストレスがあったとして労災の認定が行われたことが、遺族らへの取材でわかりました。

●遺族側代理人の稗田隆史弁護士らによりますと、男性は2008年4月に部長に昇進。同年8月ごろにうつ病になり、その後8年間にわたり月平均約80時間以上の時間外労働をしました。うち100時間超になった月が計21回、休日出勤は移動日も含め計367日あったといいます。また、残業代支払いの対象外となる労働基準法上の「管理監督者」として扱われ、同社の労働時間の管理が不十分だったといいます。男性は2016年9月に単身赴任先のマンションで死亡しました。

●遺族は昨年6月に労災を申請。労基署は、昇進で業務内容や量が大きく変わったところに、恒常的な長時間労働があり、業務による強いストレスが発病の原因になったと認定したといいます。エーザイによりますと、遺族と面会するまで、男性のうつ病の発症を把握していませんでした。担当者は「極めて厳粛に受け止めている。これまで長時間労働の是正を進めてきたが、より一層徹底する」としています。男性の妻(52)は「健康を守る製薬会社として、長時間労働は精神に障害をきたす危険があると認識できたはずなのに、夫の死を防げなかった。夫と同じような働き方をしている人は多く、会社も社会も働き方を変え、夫の死を無駄にしないで欲しい」と話しています。
2019年03月07日 09:28

1月完全失業率、2.5%に上昇 有効求人倍率1.63倍で前月と同水準!(平成31年3月4日.朝日新聞)

総務省が平成31年3月1日に発表しました昨年1月の完全失業率(季節調整値)は2.5%となり、前月の2.4%から上昇しています。上昇は2カ月ぶり。原数値でみた完全失業者数が前年比7万人増と8年9カ月ぶりに増加しましたが、総務省では女性を中心に自発的な離職や新たに職を探す人が増えていることを背景としており、雇用情勢は「着実に改善している」との判断を維持しました。

●季節調整値でみた1月の就業者は前月比32万人減の6665万人で、完全失業者は同8万人増の172万人でした。非労働力人口は同23万人増の4251万人。この結果、完全失業率は2.5%となりました。他方、原数値でみた完全失業者は前年比7万人増の166万人となり、2010年4月以来、8年9カ月ぶりに増加しました。総務省では、人手不足などを背景に、女性を中心により良い条件を求めて自発的に離職する人や新たに職を探す人が増えているほか、昨年の1月は天候要因もあって非労働力人口が増加したことなどを要因に指摘しています。

●就業者数や正規の職員・従業員数が増加を続けていることなどから、総務省は雇用情勢は着実に改善しているとの判断を据え置きました。厚生労働省が発表しました1月の有効求人倍率(季節調整値)は1.63倍で、前月と同水準でした。有効求人数は前月比1.0%減、有効求職者数も同1.0%減でした。新規求人倍率は2.48倍で、前月から0.08ポイント上昇しています。
2019年03月04日 09:29

北九州市、5000万円宿直賃金未払い「仮眠も労働」指摘!(平成31年3月4日.朝日新聞)

北九州市は平成31年2月28日、区役所で宿直業務をした嘱託職員の仮眠時間を賃金が発生しない休憩時間とみなし、労働時間に算入していなかったため、2年間で計5300万円の賃金が未払いになっていたと発表しました。北九州西労働基準監督署から昨年12月に是正勧告を受けていました。

●市によりますと、労基署の調査で、昨年7~9月に八幡西区役所で宿直勤務をした3人について、時間外や深夜の割増賃金が支払われていないと指摘を受けました。市は、宿直中の8時間の仮眠時間は労働時間とみなしていませんでしたが、職員は仮眠時間中に市民からの問い合わせがあれば対応しているため、労基署は休憩時間とみなさなかったといいます。

●市がほかの区役所も調べたところ、未払いの職員は計26人にのぼり、労働基準法でさかのぼって請求できる2年分について、当時の最低賃金を元に割り増し分などを算出したといいます。
2019年03月04日 09:17

源泉徴収でも雇用関係なし ヤマハ英語講師1400人!(平成31年2月28日.日経新聞)

楽器販売「ヤマハミュージックジャパン」(東京)が、47都道府県で展開する英語教室の講師約1400人を雇用関係のない個人事業主と扱う一方、報酬は給与とみなして所得税を源泉徴収していることが平成31年2月28日、同社への取材で分かりました。専門家は「労働者としての性格が強い証拠で雇用関係が認められるべきだ」とし、残業代の支払いなどを受ける権利があると指摘しています。

●源泉徴収は事業者が従業員から天引きした所得税を納税する制度。同社は「講師は契約上は個人事業主だが、税法上は(報酬を)給与所得として扱っている」とし、年末調整もしていると説明。こうした実態を踏まえ、労働組合「ヤマハ英語講師ユニオン」(大阪)は残業代の支払い、有給休暇付与、社会保険加入など雇用関係に基づく待遇を求めています。労組によりますと、1987年ごろに東京国税局の指導で源泉徴収されるようになりました。英語教室では指導方法や教材が指定され、講師の裁量は限られているといい、国税当局が個人事業主に当たらないと判断した可能性があります。同社は源泉徴収を始めた経緯について「回答は差し控える」としています。

●講師は契約上は労働者ではないため、残業代や休日出勤の手当もなく、会社主催の会議や研修などには無報酬で出席。昨年12月、一部の講師が労組を結成し、1月に初めての団体交渉に臨みまし。労働問題に詳しい清水弁護士は「講師は労働者として認められるべきだ」と話しています。最高裁判例で源泉徴収を根拠の一つとして「勤務先の指揮監督下で労務を提供した労働者に当たる」と認めたケースもあるとしています。
2019年02月28日 16:39

県職員2人相次ぎ自殺、長時間労働が原因 佐賀県賠償へ!(平成31年2月25日.朝日新聞)

佐賀県職員2人が相次いで自殺し、地方公務員災害補償基金が、長時間労働などによる精神疾患が原因と認めていたことが分かりました。県は、損害賠償計約9000万円を遺族に支払う方針です。

●県人事課によりますと、職員は30台だった男性副主査と、50代だった男性係長。所属部署は別といいます。副主査は2012年、自宅で自殺。本庁で事務を担当し、亡くなる約1カ月前の時間外勤務時間は月133時間でした。同基金は2016年、業務による強い精神的・肉体的負荷が精神疾患とその後の自殺につながったと認めました。初めての本庁勤務で慣れない業務が多く、長時間労働につながったと考えられるといいます。係長は2013年、自宅で自殺しました。本庁で事務に携わり、亡くなる約1カ月前の時間外勤務時間は月97時間でした。

●職場の組織管理の面でも負担がかかっており、精神疾患を発症。同基金は2017年、自殺との因果関係があると認めました。いずれの遺族も2018年、県に損害賠償を請求。県は県議会2月定例会に和解のための関連議案を提出しました。県は再発防止策として、時間外勤務が月80時間を超えた職員の所属長面談や、業務配分の見直しに取り組んでいるといいます。藤原総務部長は「職員の自死との間に因果関係があるような精神的・肉体的負担を与えたことや、勤務時間の管理が適切にできていなかったことは、県として責任を負うべきであり、遺族に対して大変申し訳なかったと考えている」とのコメントを出しました。

2019年02月25日 09:21