保険代理店の元外交員(保険募集人)が、給与から経費などを不当に天引きされたと訴えている問題で、東京都新宿区の保険代理店「グッドウイン」で外交員として働いていた横浜市の男性(32)が約588万円の支払いを求める訴えを東京地裁に起こしました。
●弁護士らへの取材によると同社への提訴が判明したのは初めて。これで同種訴訟の被告会社は4社に拡大しました。男性の代理人を務める大久保修一弁護士が平成31年1月23日、毎日新聞の取材に明らかにしました。訴状によりますと、男性は2016年5月、契約社員として入社。入社時の面接で会社側から、保険の販売で得る手数料収入の8割を本人、2割を会社の取り分とする説明を受けましたが、2018年10月の退社までの2年半に支払われた給料は、支給されるべき額より約368万円低くしはらわれていました。
●男性側は給与支払いの際に会社から示された電子データなどを基に(1)会社に籍を置いているだけで発生する「在籍料」(2)会社が負担すべき社会保険料(3)顧客になる見込みのある人物を外交員に紹介した際に徴収する「情報料」(4)電子機器の使用料――などが不当に天引きされたと主張。退社しようとした際に会社から嫌がらせを受けた慰謝料など220万円を加えた計約588万円の支払いを求めています。男性は現在、別の金融関係の会社で働いています。取材に対し「ピンハネについて社内で話題にしたら、幹部に『辞めてもらって構わない』と言われた。こんな給与体系が容認されているのはおかしい。同じような目に遭っている人は多く、業界は正常化してほしい」と話しています。グッドウインの担当者は「訴状が届いていないのでコメントできない」としています。東京商工リサーチによりますと、同社はさまざまな会社の生命保険や損害保険を取り扱う代理店で従業員約750人。2017年の売上高は約71億円。
2019年01月24日 12:42