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一般社団法人日本人材育成協会

JAPAN PERSONNEL DEVELOPMENT ASSOCIATION

労務管理TOPICS

住み込みの家政婦死亡 1審判決取り消し労災と認める 東京高裁! (令和6年9月19日.NHK NEWS)

寝たきりの高齢者の家で住み込みで働いていた60代の家政婦の女性が長時間労働のあとに死亡したのに労災と認められなかったのは不当だと、遺族が国を訴えた裁判で、2審の東京高等裁判所は1審の判決を取り消し、労災と認める判決を言い渡しました。
原告側の弁護士によりますと、個人で契約している家政婦の労災が認められるのは異例だということです。

9年前、都内の会社に家政婦と訪問介護ヘルパーとして登録していた当時68歳の女性は、寝たきりの高齢者がいる家庭で1週間住み込みで家事や介護にあたったあとに死亡し、労災も認められなかったため、夫が処分の取り消しを求めて訴えを起こしました。
1審の東京地方裁判所は、労働基準法で家政婦の仕事は労災の対象外とされ、介護については長時間労働とは言えないなどとして訴えを退けたため、遺族が控訴していました。
19日の2審の判決で東京高等裁判所の水野有子裁判長は「女性と会社との間に雇用契約書は交わされていないが、女性は会社から介護だけでなく家事の仕事についても指示を受けていた。いずれも会社の業務として行われたもので、労働基準法の適用外にはならない」と指摘しました。
そのうえで「7日間の総労働時間は105時間で、深夜でも介護の必要があり6時間以上の睡眠を連続して取ることもできなかった」などとして、長時間の労働と死亡には関係があると判断し、1審の判決を取り消して労災と認める判決を言い渡しました。
原告側の弁護士によりますと、個人で契約している家政婦の労災が認められるのは異例だということです。

判決を受けて亡くなった女性の遺族が弁護士とともに都内で会見を開きました。
裁判を起こした70代の夫は、「亡き妻を労働者として認めてもらいたいという思いで闘ってきました。裁判長が正しい判決をしてくれたことに本当に感謝しています。家事労働をしているすべての人を幸せにする判決だと思います」と話していました。
自身も介護の現場で働く40代の次男は、「フリーランスなどで家事労働をする人の力がなければ、これからの社会は支えられないと思います。母にいい判決が出て本当によかったと思います」と話していました。
代理人の指宿昭一弁護士は「個人で契約している家政婦に労働基準法を適用して労災を認めた初めての判決ではないか。これまで労基署は、個人の家に家政婦を送り出す会社が実態としては雇用しているという現実を正面から見てこなかった。今回の判決が、労働基準法の見直しの議論の後押しになると思う」と話していました。

判決について厚生労働省労災保険審議室は「国の主張が受け入れられなかった。判決内容を十分に精査するとともに、関係機関とも協議した上で適切に対応したい」としています。
死亡した女性 労働時間は1日15時間に 
女性は9年前の2015年、当時68歳で亡くなりました。
夫によりますと、女性は50歳ごろから家政婦として働いていて、亡くなった当時は都内の会社に家政婦と訪問介護ヘルパーとして登録していました。
2審判決によりますと、女性は1週間、要介護5の高齢者の自宅で住み込みで働き、労働時間は1日15時間に上り、専用の部屋がなかったため休憩中は台所のいすに座るなどして過ごし、要介護者の部屋で寝ていたということです。
1週間の仕事を終えた直後に都内の入浴施設で倒れ、搬送先の病院で亡くなりました。

労働条件の最低基準を定める労働基準法では、家事使用人、いわゆる家政婦として働く人には労働基準法を適用しないと条文で定めています。
法律が公布された昭和22年からある規定で、厚生労働省は、「家庭内で働く人は、通常の労働者とは勤務時間など働き方の実態がかなり異なっているため、一律に適用するのは適当ではない」としています。
一方、この規定をめぐっては、昭和63年に当時の労働省が「家事使用人かどうかは従事する作業の種類や性質を勘案して労働者の実態を見て決定する」とする通達を出し、事業者に雇われてその指揮命令のもとに家事を行う場合は、労働基準法が適用され労災の対象となるとしました。
一方、平成5年には、労働基準法の問題点などを研究するために当時の労働大臣が集めた学識経験者による懇談会で「規定を廃止することが適当だ」とする報告書もまとめられました。
ただ、条文自体は今も残り続けています。
4年前の国勢調査では、家事を行う対価として賃金を得ている人は7250人いました。
厚生労働省では平成30年から、家事労働をする人も個人で労災保険に入る特別加入の対象にしていますが、保険料は自身で支払う必要があります。
ことしに入ってからも厚生労働省が立ち上げた研究会で議論され、委員からは「法律ができた当時とは時代が変わっている」という意見も出ています。
2024年09月25日 13:39

協定超す時間外労働 磐田市立病院に労基署が是正勧告 コロナ拡大時! (令和6年9月13日.朝日新聞)

職員に労使協定(36協定)を超える時間外労働をさせたり、割増賃金を支払っていなかったりしたとして、磐田市立総合病院に対して磐田労働基準監督署が是正勧告を出していたことが分かった。業務量が増えたのは新型コロナウイルスの感染拡大への対応が主な理由だといい、同病院は職員を増やし、労務管理を見直したとしている。

●是正勧告は2023年7月。病院によると、医師以外の職員5人が協定で定めた上限を超える時間外労働をしていた。院内で感染者集団(クラスター)が発生し、出勤できない職員の業務が他の職員の負担増につながった。無資格でもできる業務のシフトを進め、業務量が増えるケースも出た。
●また、事務職員だけ市役所職員と同じ勤務管理のシステムを使っていたことから、時間外労働の本人申請とシステムとで乖離(かいり)があることも労基署から指摘された。職員に聞き取り調査をして、27人に対し未払い分計約300万円を支払った。
●病院の担当者は「時間外の申請があれば認めており、過少申告をさせたことはない」としている。指摘を受け、医療職と同じシステムを使い、業務以外で一定時間以上在院した場合は、理由を登録する制度にした。
●病院は23年9月、労基署に対し勧告に基づく改善策を報告した。長時間労働是正のため、22年4月時点で890人だった病院の職員を、2年間で25人増の915人にした。
2024年09月18日 10:35

医師らに協定超える時間外労働 労基署が市立静岡病院に是正勧告! (令和6年8月27日.朝日新聞)

医師らに労使協定(36協定)を超える時間外労働をさせたり、職員に割増賃金などを支払っていなかったりしたとして、地方独立行政法人・静岡市立静岡病院に対し、静岡労働基準監督署が是正勧告を出したことが分かった。病院は勧告に基づいて改善報告を労基署に提出。協定を見直し、調査が済んだ職員に対しては追加の賃金も支払ったという。

●病院によると、昨年11月の労基署の調査で労働基準法の違反事例が見つかった。労使協定では、医師については「1カ月の休日労働は2日以内」としていたが、これを超えて働かせていた。
●また、看護師など医師以外の医療職は「月45時間以上の時間外労働は年4回まで」と労使で定めていたが、これ以上働かせていたケースがあった。
●同病院では毎年2月、1年ごとに労使協定を結んでおり、勧告を受けて協定を見直した。医師については休日労働を5日以内に変更し、日曜日を基本の休日として、土日どちらかを休むよう指導しているという。病院の担当者は「認識不足があり、所属長や職員に対し説明会を開いたり、通知を出したりして周知を行った」としている。
●また、同病院では出退勤時にICカードによる打刻するシステムを使っているが、時間外労働時間で職員本人の申請とシステムとに乖離(かいり)があることも労基署から指摘された。このため、千人近くいる正規職員の勤務実態について調べ、看護師を除く203人に対しては昨年4月からの割増賃金を計約700万円を支払った。約550人いる看護師の調査は続いており、10月には終えたいとしている。こうした改善の取り組みについて、2月以降、順次労基署に報告した。
●働き方改革は4月から医師に対しても始まっており、勤務医の時間外労働は年間960時間(月80時間相当)が原則上限となっている。ただし、地域医療に従事するなどやむを得ない場合、第三者機関の評価や県の審議会を経て、県が「特定労務管理対象機関」に指定し、原則より緩い条件で36協定を結ぶことができる。県によると、同病院は今年3月に指定を受けた。
2024年09月03日 17:00

給与の電子マネー払い、「PayPay」認可 労使協定や同意書必要! (令和6年8月12日.朝日新聞)

厚生労働省は9日、給与を電子マネーで支払える資金移動業者として、ソフトバンク子会社のQR決済大手「PayPay(ペイペイ)」を認可したと発表した。昨年4月に給与のデジタル払いが解禁されて以降、事業者の認可は初めて。

●企業がデジタル払いを利用する際には、労働組合などと労使協定を結ぶ必要がある。さらに従業員から同意書を取る必要がある。
●ペイペイを使う場合、企業はペイペイが指定する銀行口座に一部の給与を振り込めば、自動的に従業員のペイペイアカウントにチャージされるという。企業側がシステム開発をしたり、新たにペイペイと契約したりする必要はない。一方、チャージ残高は20万円が上限で、従業員はこの範囲内でペイペイにチャージする金額を決められる。
●ペイペイはまず、ソフトバンクグループ10社の9月分給与からサービスを始める。その後、年内にペイペイユーザー(6400万人超)向けのサービス提供を始めるとしている。
●給与のデジタル払いは昨年4月に解禁された。賃金は原則、現金で支払うと労働基準法で定められている。例外として銀行口座などへの振り込みが認められており、解禁によりキャッシュレス決済口座が加わった。
●認可についてはキャッシュレス決済口座などを運営する4社が申請しており、ペイペイ以外の3社についても、厚労省が審査を続けている。
2024年08月12日 12:00

大企業の夏ボーナス94.1万円、過去2番目の高さ 経団連最終集計! (令和6年8月7日.朝日新聞)

経団連は7日、大企業の夏のボーナスの妥結状況(最終集計)を発表した。

●平均妥結額は前年比4.23%増の94万1595円と3年連続で増加し、比較可能な1981年以降で2番目に高かった。過去最高だった2018年(95万3905円)には及ばなかったが、コロナ禍前の19年の水準(92万1107円)を5年ぶりに上回った。原則として従業員500人以上の20業種156社(従業員総数は約84万7千人)について業界団体の協力を得て集計した。好調な企業業績や賞与算定のもとになる基本給の伸びを反映して高水準の支給となった。
●平均妥結額の伸び率は前年(0.47%)を上回った。
 
2024年08月07日 12:00

男性の育休取得、30%に上昇 「意向確認」の義務化で大幅アップ! (令和6年7月31日.朝日新聞)

育児休業をとった民間企業の男性の割合が2023年度は30.1%となり、前年度(17.1%)から13.0ポイント上昇して過去最高となった。学生らを対象にした調査では、男性の84%が育休取得を希望しているという結果も明らかになった。

育休の取得率は、厚生労働省が23年度の「雇用均等基本調査」として31日に発表。従業員5人以上の6300事業所に調査を依頼し、3495社から有効回答を得た。
政府は男性育休について「25年までに50%」を目標にする。厚労省は取得率が今回30%超に急上昇した背景として、22年春に育休取得の意向確認や制度の周知が企業に義務づけられたことがあると分析する。担当者は「意向確認が『取ってもいい』と思うきっかけになっている」と指摘。政府目標について「高い目標だが、達成すべく取り組む」としている。
2024年07月31日 12:00

春闘効果、社会全体への波及は見通せず 大手と中小の格差も拡大!(令和6年7月3日.朝日新聞)

労働組合の中央組織・連合が最終集計した今春闘の賃上げ率は5.10%となり、33年ぶりの歴史的な高水準となった。ただ、労組の組織率が下がる中、直接恩恵を受ける働き手は一握りだ。持続的な賃上げには、春闘の効果を社会全体に波及させる必要がある。

歴史的な5%賃上げは一握り 揺らいだ「春闘の機能」、取り戻す道は。
「物価高と人手不足に加え、多くの労組で昨年を上回る要求を掲げ、しっかりと交渉した結果だ」。連合の仁平章・総合政策推進局長は3日の会見でこう振り返った。
今年の春闘は、労組だけでなく、経団連などの経営側も賃上げの必要性を強く訴える異例の展開だった。要求自体が歴史的な高水準となり、満額回答が相次いだほか、ベースアップが11.8%に上った日本製鉄など労組の要求を超える大企業の回答も目立った。
ただ、社会全体の賃金の底上げにつながるかは見通せない。
2024年07月04日 11:00

今治タオル製造の元技能実習生、「無断で在留資格変えられた」と訴え!(令和6年7月2日.朝日新聞)

愛媛県今治市の縫製企業で働いていたミャンマー国籍の元技能実習生6人が、実習内容と違う仕事をさせられ、在留資格を無断で変えられたとして、支援する労働組合などが松山市で2日、記者会見を開いた。

中小製造業などの労組でつくる産業別組織JAMなどによると、元実習生は2022年9月に来日した20代の女性6人。実習内容は「子供服製造」だったが、実際は市の特産品で高品質で知られる「今治タオル」の製造に従事させられた。
23年11月、勤務先の監理団体や企業から「あと2年働くには手続きが必要」「このままだと辞めてもらうしかない」などと言われ、在留資格が「特定活動」に変更された。JAMによると、企業側は変更について説明したと主張しているが、資格の内容や理由について本人たちは理解が十分でなかったという。
その後、無断で変更されたとして6人は退職。最後の1カ月分の賃金や残業代が支払われていないことからJAMに相談し、今回の件が発覚した。
ミャンマーでは2021年2月に国軍のクーデターがあり、帰国に不安を抱えるミャンマー人のため、「特定活動」資格の在留が認められている。
JAMによると、技能実習で入国後、実習内容の実態に合わせるため特定活動に無断で変える例が昨年から全国で増えている。今年に入って10件ほどの相談があり、「懸念している」という。
JAMの安河内賢弘会長ら支援関係者は2日、今治市内の今治タオル工業組合を訪問。この企業は組合には入っていないが、今治タオル業界では外国人労働者に対する人権侵害が繰り返されてきたとして、「法令順守の対応がなされてきたのにもかかわらず今回の問題が起きたことは遺憾。産地全体で人権尊重の取り組みを徹底してほしい」などと求めた。
JAMによると、今治タオル工業組合は誠意をもって対応したいと答えたという。企業側からも、未払いの賃金を支払い、認識の違いがあれば是正したいとの連絡があったという。
この日の会見で、JAMの安河内会長は「再発防止策を含む改善の状況をみながら、労働当局に通告するかどうかなどを検討していく」と述べた。
2024年07月02日 17:00

「聞こえない人」歓迎のカフェ 発端はバイト面接「12回も落ちた」!(令和6年6月27日.朝日新聞)

聴覚に障害がある若者らが働くカフェバーが、JR平塚駅近くのビルの2階にオープンした。立ち上げたのはダンサーで、神奈川県平塚市を拠点に手話ダンスを教える北村仁さん(41)。きっかけは、教え子がアルバイトの面接に「12回も落ちた」ことだったという。

同市紅谷町に6月、本格オープンした「UD Cafe&Bar -te to te-(ユーディーカフェ&バー テトテ)」。
「UD」はユニバーサルデザインのことで、耳の聞こえる人、聞こえない人が自然につながる場になることをめざす。
手話ができる澤下耀さん(32)を店長に、聴覚障害のある4人の若者がスタッフとして働く。20席ほどの店内は、手話や筆談ボードなどで注文する客でにぎわっている。
北村さんは、ストリートダンスに手話表現を採り入れた独自の「UDダンス」の提唱者で、かつて同市のダンスチームに加わって渡米し、NYのアポロシアターで好評を博したこともある。
チームを離れた後、市の財団の講座でダンスを教えたところ反響が大きく、2019年に駅前にスタジオを借り、スクールを始めた。現在は東京と平塚で約60人を教え、コロナ禍で始めたオンラインの受講者も全国に約170人いる。豊かな表情が持ち味のUDダンスを学ぶのは、7割が聞こえる人という。
そんな北村さんが、畑違いのカフェをつくろうと思い立ったのは、22年の夏。当時、県立平塚ろう学校高等部に通っていたスクール生、古川天斗(たかと)さん(18)との会話で、古川さんが飲食チェーン店などのバイト面接に12回連続で落ち、1年近く決まらずに悩んでいることを知った。
驚いて、ほかの生徒たちに聞いても同じ状況だった。同じ面接を受けても、聞こえる子だけが採用され、働けても親族が経営している店などがほとんど。また、やっと面接を突破しても、職場に聞こえないことへの配慮がなく、孤立して続かなかった生徒もいた。
2024年06月27日 09:30

労災認定に企業は不服を申し立てられる? 最高裁で弁論、判決は7月!(令和6年6月10日.朝日新聞)

労働者の病気やけがを、国が労災と認定した際、事業主が不服を申し立てられるかが争われている訴訟の上告審で、最高裁第一小法廷(堺徹裁判長)は10日、当事者双方の意見を聞く弁論を開いた。

国側が「事業主の不服申し立てを認めれば労働者の保護を著しく損なう」と主張して結審し、判決期日は7月4日午後3時に指定された。この論点で最高裁が判断を示すのは初めて。最高裁の弁論は二審の判断を変えるのに必要な手続きで、事業主は不服申し立てができるとした二審・東京高裁の判断が見直される可能性がある。労災が認定されると、労働者に賃金の一定割合や治療費などが国から支給される。一方、労災保険の「メリット制」と呼ばれる仕組みで、従業員が労災認定されると事業主が払う保険料が増える場合があり、事業主側は認定に不服を言えないとされてきた。
 
2024年06月10日 08:30