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一般社団法人日本人材育成協会

JAPAN PERSONNEL DEVELOPMENT ASSOCIATION

労務管理TOPICS

同一賃金、待遇差で企業に説明義務 厚労省が論点整理!(平成29年3月9日.日経新聞)

厚生労働省は平成29年3月8日、同一労働同一賃金の詳しいルールを話し合う有識者検討会に論点整理案を示しました。正社員と非正規社員の待遇差を説明する義務を「強化・拡充する必要がある」と指摘。給与や福利厚生などで差がつく理由を、事前に社員に説明するよう企業側に求めました。各企業は賃金体系や研修に関する情報を、非正規社員とも共有する必要に迫られそうです。同じ仕事をしていれば同じ賃金を払う同一労働同一賃金は、政府が掲げる「働き方改革」の柱の一つです。昨年末には、政府が正社員と非正規社員の不合理な待遇格差の例を示したガイドライン(指針)案を公表しました。

●厚労省はこの指針の実効性を高めるため、労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の議論を経て、年内に関連法案を提出する方針です。今回の論点整理では、法案づくりに向け課題を整理しました。焦点の一つは従業員への説明義務です。現在のルールでは、企業に自社の賃金制度などについての説明義務は課していますが、正社員と非正規労働者の待遇差の説明までは義務付けていません。昨年末の指針案では、成果などに応じた合理的な待遇差は認める一方で、合理的でない格差は縮めるよう求めています。格差がある場合でも、その理由を説明して、非正規社員を納得させるよう企業に促しています。そこで論点整理案は、待遇差の説明義務を今よりも強化するよう求めました。政府も働き方改革の関連法案に、待遇差の説明義務を盛り込む方針です。関連法が施行されれば、企業は「正社員と非正規社員の賃金体系が違う理由」や、「一部の社内研修が正社員しか受講できない理由」などを非正規社員に説明する義務が生まれます。待遇差を巡って裁判になったときに、その格差の立証責任を誰が負うのかも焦点の一つとなります。

●今は労働者側が待遇差が不合理である理由を説明し、企業側は待遇差が適切である根拠を説明するなど双方が立証責任を負います。労働者側からは「立場が強い企業側にだけ、立証責任を負わせるべきだ」との声も上がっています。ただし論点整理案は現行のルールを支持しています。「日本と欧州では賃金制度が異なる」として、企業にだけ重い立証責任を課すことに慎重な姿勢を示しました。派遣労働者の扱いでは、見解が分かれました。派遣社員の待遇を、派遣元と派遣先の双方の正社員に近づけるべきだとの見解を示した一方で、双方との格差是正を目指すと「派遣元企業の負担が増す」といった慎重意見も併記しました。政府が同一労働同一賃金を目指すのは、非正規労働者の処遇改善により低迷する個人消費を底上げする狙いがあります。ただし経済界では単に非正規社員の待遇を良くして、人件費が増すことへの懸念は根強いものがあります。日本企業はこれまで研修などのスキルアップの機会を正社員を中心に与えてきました。能力やスキルの向上など非正規社員の生産性向上と待遇改善を両立しなければ、同一労働同一賃金の流れは長持ちしそうにありません。
2017年03月09日 08:59

歩合給から残業代差し引く賃金規則は「有効」 最高裁判決!(平成29年3月9日.日経新聞)

タクシー会社の国際自動車(東京)の運転手ら14人が、歩合給から残業代を差し引く賃金規則は無効だとして未払い賃金の支払いを求めた訴訟の上告審判決が、最高裁第3小法廷(大谷剛彦裁判長)でありました。同小法廷は、賃金規則が無効とした二審・東京高裁判決を破棄し、規定は有効と判断しました。そのうえで、労働基準法の基準を満たす残業代が支払われているかどうかを判断するため審理を東京高裁に差し戻しました。

●同小法廷は判決理由で、国際自動車の賃金規則について「規則が労基法の趣旨に反して無効とはいえない」と判断しました。一方、「規則にもとづく賃金が、労基法が定める残業代の支払いといえるかどうかは問題になり得る」とも指摘。差し戻し審で残業代が適法に支払われていないと判断されれば、未払い賃金が生じることになります。一、二審判決によりますと、この賃金規則は、時間外手当や深夜手当などが生じた場合、売り上げに応じて支払われる歩合給から同額を差し引いて支払うと定めていました。運転手側の代理人弁護士によりますと、同様の賃金規定はタクシー業界で広く用いられているとされます。

●一審・東京地裁判決は「労基法が定める残業代の支払いを免れる賃金規則であり無効」と判断し、未払い賃金計約1460万円の支払いを命じ、国際自動車が敗訴しました。二審判決も一審の結論を維持しました。国際自動車は「売り上げ増加のために過剰労働に陥りやすいタクシー運転手の健康や安全に配慮するのが目的だ」と主張。労働組合からの要望を踏まえた規則であり、有効だと訴えていました。
2017年03月09日 08:51

パナソニック社員死亡、労災認定=富山工場勤務、砺波労基署!(平成29年3月6日.時事通信)

富山県砺波市にあるパナソニックの工場に勤務し、昨年6月に死亡した40代の男性社員について、長時間労働が原因として砺波労働基準監督署が労災認定していたことが分かりました。

●パナソニックによりますと、認定は2月上旬。死因は遺族の意向で公表していません。男性は電子部品の生産拠点であるデバイスソリューション事業部の富山工場に勤務。社内調査によりますと、死亡直前の時間外労働は月100時間以上でした。パナソニックは「厳粛に受け止め、社を挙げて再発防止に努める」としています。 
2017年03月06日 09:55

ヤマト運輸、労働時間の年間目標引き下げ 社員の負担軽減20年前から200時間削減!(平成29年3月3日.産経新聞)

宅配便最大手のヤマト運輸が新年度から、正社員の労働時間に対する年間目標を引き下げる方針を固めたことが分かりました。トラックドライバーを含めた従業員の労働環境を改善する狙いがあります。同社は労働組合側の要求も受け、時間帯指定の見直しなどサービスの抜本改革に向けた検討に着手しており、詳細が固まり次第、通販事業者などにも理解を求めていきます。

●年末年始などの繁忙期と閑散期の仕事量に波がある業務内容を踏まえ、同社は正社員に対し、月単位ではなく年単位で労働時間の目標を定めています。関係者によりますと、この目標数値を新年度からは従来より8時間分引き下げて2448時間にする計画だといいます。同社によりますと、労働時間の目標は達成度合いに個人差があるものの、これまで段階的に引き下げられており、約20年前と比較すれば約200時間が削減されています。ただ、全産業の平均と比較すると1割以上も多い水準で、労使間で協議を続けてきました。

●宅配便市場で5割近いシェアを誇る同社の荷物取扱数は、2015年度に約17億3000万個と過去最高を記録し、2016年度はさらに8%増の18億7000万個となる見通しです。スマートフォンの普及に伴い、ネット通販事業者の荷物取り扱いが急増したほか、共働きの世帯数の拡大も再配達の増加につながっており、ドライバーなど従業員の労働環境を悪化させています。こうした状況も受け、労組側は会社側に荷受量の抑制などを求めており、同社は一部時間帯における宅配の時間帯指定廃止も含め、長時間労働の是正を検討しています。同社は新年度からの労働時間目標を念頭に、早ければ今月中旬までに新たなサービスや業務の詳細を詰める方針です。
2017年03月03日 09:53

1月完全失業率、3.0%に改善 有効求人倍率は横ばい!(平成29年3月3日.ロイター通信)

総務省が平成29年3月3日発表した1月の完全失業率(季節調整値)は3.0%で昨年12月(3.1%)から改善しました。厚生労働省が発表した同月の有効求人倍率(季節調整値)は1.43倍と前月から横ばいとなりました。

●完全失業者数は198万人で、9万人減少しました。うち勤務先の都合や定年退職など「非自発的な離職」は1万人減、「自発的な離職」は1万人減でした。就業者数(同)は6504万人で5万人増加しました。

►ポイント
1月完全失業率------3.0%
1月有効求人倍率----1.43倍
2017年03月03日 09:38

自民政調会長 罰則つき時間外労働の上限導入実現を!(平成29年2月27日.NHKnews)

自民党の茂木政務調査会長は東京都内で講演し、働き方改革について、「今回が改革実現の最大のチャンスであり、ラストチャンスだ」と述べ、罰則つきの時間外労働の上限の導入など、改革の実現に取り組む決意を示しました。

●この中で、茂木政務調査会長は、罰則つきの時間外労働の上限をめぐって、経団連の榊原会長と連合の神津会長が平成29年2月27日にも会談する見通しとなっていることについて、「労働現場の実態を熟知している労使双方に『自分の問題だ』という当事者意識を持って、合意してほしい」と述べ、期待を示しました。

●政調会長は「働く人たちの健康を守るためにも、多様なライフスタイルと仕事を両立させるためにも、長時間労働の慣行を断ち切ることがどうしても必要で、今回が改革実現の最大のチャンスであり、ラストチャンスだ」と述べ、政府・与党で、罰則つきの時間外労働の上限の導入など、改革の実現に取り組む決意を示しました。
2017年02月27日 16:27

味の素、1日7時間労働に…パート時給引き上げ!(平成29年2月21日.読売新聞)

味の素は平成29年2月20日、従業員の平均労働時間を2018年度から年1800時間に短縮することで労使が合意したことを明らかにしました。

●大手企業の所定労働時間は1日8時間が一般的だが、味の素ではほぼ7時間になります。子育てや介護などを抱える社員が増えており、勤務時間の短縮で働きやすい職場環境をつくる狙いがあります。あわせて、今年4月から毎月の基本給を底上げするベースアップ(ベア)5000円を含む月1万円の給与引き上げを行うことでも労使が合意しました。ベアを除く賃上げ分は、家族手当など諸手当の見直しで原資を確保します。パートの時給も5~6%引き上げます。働く時間が短くなっても収入が減らないよう配慮します。味の素は今年4月から、1日の所定労働時間を従来の7時間35分から20分短い7時間15分に短縮する方針をすでに決めており、さらに短縮することになります。
2017年02月21日 09:42

34歳過労自殺、労災認定 遺族、西日本高速役員ら告訴!(平成29年2月21日.朝日新聞)

西日本高速道路(NEXCO西日本)の当時34歳の男性社員が2015年に自殺したのは長時間の過重労働が原因だとして、神戸西労働基準監督署が労災を認定したことが、遺族の代理人弁護士への取材でわかりました。遺族は、社員への安全配慮を怠ったとして同社の役員ら8人に対する業務上過失致死容疑の告訴状を神戸地検に出しました。

●代理人弁護士によると、男性は2014年10月、宮崎県の高速道路事務所から第二神明道路事務所(神戸市垂水区)に異動し、経験のなかった道路補修工事の施工管理を担当。長時間労働を強いられ、うつ病を発症したといいます。2015年2月、社宅で自殺しました。遺族側が勤務記録などを調べたところ、時間外労働は2014年10~12月で毎月150時間以上に達していました。夜間工事の監督業務にも従事。午前4時59分の退勤から8分後に再び出勤し、事実上、約36時間の連続勤務をしていた記録もあったとしています。代理人によりますと労災認定は2015年12月9日付。2カ月間にわたり、最大で月約140時間の時間外労働を認められたといいます。

●男性の母親によりますと、神戸市出身の男性は阪神・淡路大震災で阪神高速道路が倒壊した様子を見て、安全で安心して暮らせる都市づくりに関わりたいと前身の日本道路公団に入社しました。母親は公表した手記で「働く者が仕事に誇りや喜びを持って人間らしく働ける社会であることを願ってやみません」と訴えています。遺族が今回、告訴対象にした8人は、同社執行役員の人事部長や上司ら。長時間労働を把握し、自殺の危険性を予測できたのに必要な措置を怠った、と訴えています。遺族代理人の渡部弁護士は「長時間労働を社会からなくすには、労働時間に管理責任を負う人の刑事責任を問う必要があると考えた」と説明しています。西日本高速道路は、「このようなことが二度と起こらないよう労働時間の正確な把握の徹底を会社全体で進めているところです」とのコメントを出しました。
2017年02月21日 09:18

労基署、知事らを書類送検…県が賃金未払い容疑!(平成29年2月20日.読売新聞)

奈良県が非常勤嘱託職員として雇用した女性に対し、時間外労働の一部賃金が未払いだったとして、奈良労働基準監督署(奈良市)が荒井知事と、当時の県中央こども家庭相談センターの幹部ら3人を、労働基準法違反(賃金未払い)の疑いで地検に書類送検していたことが、関係者への取材でわかりました。

●関係者によると、奈良市の45歳の女性は2014年4月~15年3月末、同センターの非常勤嘱託職員として勤務。うち、2014年4月9日~6月18日の計約3時間分の時間外労働の賃金約3500円が未払いだったといいます。労基署は女性の申し立てを受け、2014年7月、同センターに調査と行政指導を実施。県は女性に時間外労働の一部賃金約1万円を支払ったが、女性はさらに不足分があると申し立てていました。

●女性は、父親の介護のため時間外労働をさせないでほしいと希望していたのに、勤務時間の延長が何度かあり、当時の上司に記録を書き換えられ、延長はなかったことにされた、などと主張しています。同センターの笹川宏樹所長は「労基署などの指導や助言を受け、法に基づいて適切に対応してきた。書類送検されているとは知らなかった」、県人事課は「労基署からの指導に基づき必要な支払いは済ませており、対応済み」としています。
2017年02月20日 09:33

電通 労働環境改善に70億円!(平成29年2月16日.テレビ東京)

新入社員の過労自殺問題で書類送検された電通が、2016年12月期の決算会見を開きました。先月の就任以降、公の場に初めて姿を現した山本社長は「労働環境の改革が私の最重要課題と認識している」と話しました。

●電通は社員の労働時間の削減などを進めており、今後労働環境を改善するために新たにおよそ70億円の投資をすると発表しました。また、200人の臨時雇用などを計画し、仕事の機械化を進めるといいます。

●山本社長は「弊社が抱える労働環境に関する問題がきわめて多岐にわたり複雑で、機械化するものとしないものを具体的に切り分けている最中だ」と述べました。今期は、“仕事量を無理に追いかけない労働改革への投資”という意味で、国内事業で減収減益を見込むとしており、加えて今年4月までには労働改革案を打ち出す予定です。
2017年02月16日 14:54