那覇労働基準監督署は、県内の居酒屋チェーンで店長として働いていた男性(当時30歳)が長時間労働などで業務上の強い心理的負荷を受けたことで精神障がいを発病し、2017年7月に自殺したとして、労災と認定しました。決定は2019年12月20日付。男性遺族の代理人弁護士は、多いときには月164時間以上の時間外労働があったと主張しました。男性が働いていた会社の社長は本紙の取材に「過重労働になるような勤務状況はつくっていない」と反論しています。
●男性はアルバイトとして勤務を始め、2013年に正社員なり店長となりました。代理人の川津知大弁護士が労基署に提出した意見書によりますと、店長だった男性は月に一度程度の休みしか取れない時期もあり、夕方から深夜にかけての営業時間後、「閉店後に新商品開発を行い、場合によっては朝や昼ごろまで作業を行う」こともあったといいます。また、店長としてある程度の権限が与えられていましたが「毎日の売り上げに対する人件費や仕入れ原価などの経費の比率が定められており、これを超える分は自分で補?(ほてん)しなければならなかった」としています。川津弁護士は「名ばかり管理職で店長としての地位が与えられ、売り上げのノルマに縛られて自分の身を犠牲にして働かなければいけない状況だった」と説明。「商品単価を落とすために人件費が削られている。経営者は人を雇う立場である以上、労働法を守るのが当然だ」と述べました。
●那覇労働基準監督署が2017年7月に県内の居酒屋チェーンで店長として勤務していた男性(当時30)の自殺を労災として認定した件で、男性の兄(37)は7日、本紙の取材に「弟のように過重労働で命を落とす人がこれ以上増えないよう社会に訴えていきたい」と話しました。一方、居酒屋チェーンの社長は「事実をねじ曲げられている」などと話しています。男性の兄は、男性が1日3時間から5時間以上の時間外労働を日常的に行い、週に1日程度の休日しかなかったと指摘。「過重労働を認めようとしない会社の姿勢に怒りを覚える」と語気を強め、会社を相手に損害賠償を求めて提訴する考えを示しました。社長はこうした長時間労働の常態化について「あるわけがない」と主張。「店長というのは最高経営責任者であって管理責任者だ。拘束する必要がない」と説明する一方、勤怠管理のためのタイムカードを設置していなかったと明かしました。遺族側が主張する店舗の運営経費や売り上げノルマの不足分の補?(ほてん)は「あり得ない」と説明。「われわれのような商売を一般の組織と同じように見られても困る。従業員とは家族のような親密感がある」と述べました。
2020年01月09日 12:37