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一般社団法人日本人材育成協会

JAPAN PERSONNEL DEVELOPMENT ASSOCIATION

労務管理TOPICS

職場で犯人扱いされうつに 無罪の女性に異例の労災認定!(令和元年11月18日.朝日新聞)

老人ホームに入居する男性の胃ろうのカテーテルを抜いたとして傷害罪に問われ、無罪判決を受けた佐賀県鹿島市の女性(34)が労災と認定されたことがわかりました。労働基準監督署は、女性が施設側から犯人扱いされて自宅待機を命じられ、直後に適応障害を発病したと判断しました。専門家によりますと、無罪事件を巡る労災認定は珍しいといいます。

●女性の代理人の吉田俊介弁護士(福岡県弁護士会)によりますと、認定は4月23日付。女性は、佐賀県嬉野市の老人ホームに介護職員として勤務していました。2014年12月、入所する90代男性の胃ろうのカテーテルが抜けることがあり、県警は2015年5月、男性の胃を傷つけたなどとして傷害容疑で女性を逮捕。女性は傷害罪で起訴されたが無罪を主張した。佐賀地裁は2017年12月に「被告がカテーテルを故意に抜いたというには合理的な疑いが残る」として無罪判決を言い渡し、その後確定しました。

●女性側は「ホームを運営する社会福祉法人が女性の関与を疑って自宅待機を命じたうえで警察に通報した」とし、「適応障害を発病したのは自宅待機命令がきっかけ」と主張。2018年10月に武雄労働基準監督署に労災を申請しました。労基署は待機命令直後の2015年3月初旬に適応障害を発病したと認定。「無実を訴えていたが一方的に犯人扱いされ、自宅待機を命令された」として心理的負荷を3段階の「強」と判断しました。

●自宅待機命令後の逮捕や1年近い勾留で症状が悪化し、うつ状態に。一時は睡眠障害で足が動かず車いすでの生活を強いられ、現在も働けないといいます。労災問題に詳しい松丸正弁護士(大阪弁護士会)は「職場の不十分な調査で横領などが疑われ、退職に追い込まれることは少なくないといいます。今回は冤罪(えんざい)だとはっきりしたケースで労災認定は当然だが、非常に珍しい事例だ」と話しています。
2019年11月18日 10:03

企業規模「51人以上」に引き下げ、パート労働者への厚生年金拡大―政府!(令和元年11月14日.時事通信)

政府が検討する公的年金改革案の骨格が、判明しました。焦点だったパート労働者への厚生年金の適用拡大については、「従業員501人以上」としている企業規模要件を「51人以上」に引き下げる方向で最終調整に入ります。保険料を折半する中小企業の負担を考慮し、3年間程度かけて段階的に引き下げることも検討しています。

●厚生労働省の有識者会議などはこれまで、企業規模要件について「撤廃すべきだ」と指摘してきました。ただ与党内からも企業負担への懸念が根強く、今回の改正での撤廃は見送ります。来年の通常国会に提出する年金制度改正法案の付則に、5年後をめどに行われる次回の年金制度改正に向けた検討課題と明記する方向です。パート労働者への適用拡大が実現すれば、新たに65万人が厚生年金に加入する見通しです。政府はまた、適用拡大で影響を受ける中小企業への支援策について、新たに策定する経済対策に盛り込み、2019年度補正予算案などに計上する方針です。

●一定以上の収入がある高齢者の年金を減額・停止する「在職老齢年金」の見直しについては、65歳以上では減額対象となる基準を「月収51万円超」とする方針を固めました。60~64歳についてもそろえる考え。60~64歳では「月28万円超」、65歳以上では「月47万円超」としている基準を引き上げることになります。新たに年4000億円程度の年金給付が発生するため、年金財政は悪化します。ただ厚生年金の適用拡大により、保険料収入の増加が見込まれるため、厚労省は将来世代の給付水準に影響は出ないと見込んでいます。11月末にも制度改正案の大枠を取りまとめる方針です。
2019年11月14日 09:16

厚生年金、企業要件緩和へ2案、従業員51人か21人で線引き!(令和元年11月12日.共同通信)

パートら非正規で働く人の厚生年金の加入を促進するため、政府が現在の「従業員501人以上」という企業要件を当面「51人以上」か「21人以上」に緩和する両案を検討していることが令和元年11月11日、分かりました。

●政府は与党や経済界と協議する方針ですが、厚生年金の保険料は労使折半のため負担が増える中小企業の反発は必至。調整は難航も予想されます。

●国民年金だけでは低年金に陥る恐れがあり、厚生年金に加入してもらうことで将来受け取る年金額を手厚くするのが狙いです。政府は企業側の理解を得るため、支援策とセットで実施したい考えです。
2019年11月12日 09:12

厚生年金の対象拡大、法律事務所も加入義務!(令和元年11月12日.共同通信)

厚生労働省が、弁護士や公認会計士らの個人経営事務所で働くスタッフも厚生年金の対象とする制度改正案を11月13日の社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の部会に示すことが分かりました。

●年金額を手厚くするため厚生年金の加入者を増やす政策の一環。現在、法人事業所は全て加入義務がある一方、個人事業所は業種が限られ、弁護士らは対象外。今後、数万人が対象になるとみられます。

●厚生年金の加入義務は従業員5人以上の個人事業所の場合、16業種に限定。対象業種は60年以上にわたり変更されておらず、今回「士業」と呼ばれる弁護士や会計士、社会保険労務士の事務所を加えることとしました。
2019年11月12日 09:05

国民健康保険の保険料上限額 来年度から2万円引き上げへ!(令和元年11月11日.NHKnews)

自営業者などが加入する国民健康保険について、厚生労働省は、保険財政を改善するため、高所得者の年間の保険料の上限額を来年度から2万円引き上げて82万円にする案を、社会保障審議会に示しました。

●自営業者や非正規労働者などが加入する国民健康保険について、厚生労働省は、高齢化で悪化している保険財政を改善するため、毎年、保険料を見直していて、社会保障審議会の医療保険部会に来年度からの見直し案を示しました。それによりますと、年間の保険料の上限額を今の80万円から2万円引き上げて、82万円にするとしています。

●引き上げは3年連続で、厚生労働省の試算では、上限額を支払うのは年収がおよそ1120万円以上の単身世帯になるということです。また、40歳から64歳の人が一緒に納める介護保険の保険料についても、年間の上限額を今の16万円から1万円引き上げて、17万円にするとしています。これらを合わせた保険料全体の年間の上限額は99万円となり、加入者全体の1.68%の世帯が対象になる見通しです。
2019年11月11日 10:23

労働者を守り切れないパワハラ指針案!(令和元年11月7日.共同通信)

職場でのパワーハラスメント防止が企業に義務付けられるのを前に、厚生労働省はパワハラの定義や、それに該当する行為、しない行為の具体例などをまとめた指針の素案を厚労相の諮問機関・労働政策審議会の分科会に示しました。大企業は来年6月から、中小企業は2022年4月から義務化されることになり、年内の指針策定を目指します。

●パワハラ被害は後を絶たない。上司から暴言を吐かれたり、暴力を受けたり。さらに人員整理や社内不正の告発、組合加入など背景はさまざまだが、目を付けられた社員がいわゆる「追い出し部屋」に追いやられ、能力や経験に見合わない仕事をさせられるケースも多くの企業で見られます。指針案も、意に沿わない労働者を別室に長期間隔離するのはパワハラに当たると指摘する。しかし一方で、処分を受けた労働者に個室で研修を受けさせるのは問題ないと例示。労働者に落ち度があれば、パワハラのような行為も許されるとも読めることから、労働者側は「パワハラを助長しかねない」と批判する声もあります。

●ほかにも多くの問題点を挙げて指針案の修正を求め、大筋で賛同している経営者側との対立が深まっています。今後、労政審での意見取りまとめは難航しそうですが、まず指針案を全面的に見直す必要があります。このままでは、弱い立場に置かれた労働者を守り切れないおそれがあります。パワハラで休職や退職を余儀なくされたり、自殺に追い込まれたりする例が尽きない中、5月に成立した改正労働施策総合推進法は「優越的な関係を背景に、業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により就業環境を害する」と、パワハラを定義。事業主に相談体制の整備など対策を初めて義務付けました。罰則を伴う禁止規定は見送られています。
2019年11月07日 09:24

長時間労働違反67% 549事業所で月80時間超!(令和元年11月5日.大阪日日新聞)

大阪労働局は、2018年度に長時間労働が疑われる府内事業所を監督指導した結果、67・3%の1557事業所で労働基準関係法令違反があったと発表しました。このうち549事業所では、過労死のリスクが高まるとされる月80時間を超える時間外労働を確認しました。

●違反のうち、違法な時間外労働があったのは836事業所。このうち月100時間を超える労働者がいたのは371事業所にのぼり、月200時間を超えていたケースも17事業所でありました。賃金不払い残業があったのは144事業所。過重労働による健康障害防止措置が未実施だったのは、303事業所でした。

●監督指導した事業所のうち、違反割合が高かった業種は、運輸交通業が最多の87・2%。製造業の73・6%、建設業の73・6%と続いています。 同局は、違反の背景について、人手不足や業務効率の悪さといった要因があると分析。業務分担の見直しなどで長時間労働の縮減を図るよう求めています。
2019年11月05日 12:21

かかりつけ医なら初診料3割増、患者の認識は3割のみ!(令和元年11月1日.日経新聞)

かかりつけ機能を持つ診療所を受診すると初診料が3割増える――。2018年度に導入されたこの負担増を認識していた患者は厚生労働省の調査で3割にとどまりました。患者への説明のあり方を巡り、健康保険組合連合会など保険者側と日本医師会の間で論争が起きています。

●「診察前に文書で丁寧に説明することを要件化すべきだ」。医療の価格を定めた診療報酬の改定を議論する中央社会保険医療協議会(中医協、厚労相の諮問機関)。30日の総会で健康保険組合連合会の幸野庄司理事はこう提案しました。健保側が問題視しているのは「機能強化加算」。在宅医療の提供や24時間対応など一定水準を満たす診療所はかかりつけ機能があるとして報酬を上乗せする仕組みです。こうした診療所ではどんな患者でも初診料が800円上乗せされ、3割増の3680円となります。患者の支払う窓口負担は3割負担の場合、240円増えて1104円になります。全体の1割にあたる約1万2千の診療所が届け出ています。令和元年10月30日の中医協総会で厚労省は機能強化加算の届け出のある医療機関を受診した患者への調査結果を報告しました。追加負担の有無についてたずねたところ「ある」と回答した患者は32.4%にとどまり、多くの患者が医療費が上乗せされていることを認識していないことをうかがわせました。

●現行では夜間や休日の問い合わせに対応していることなどを診療所内に掲示する要件はありますが、負担については患者に示す必要がありません。かかりつけ医の役割について説明を受けた患者も34.9%にとどまっており、疑念を強めた健保側が負担について事前に説明することを加算の要件とするよう提案することになりました。これに対し、日本医師会の松本吉郎常任理事は「患者一人ひとりに説明するのは時間がかかり、診療を阻害する」と激しく反発しました。かかりつけ医の普及に注力している医師会は、促進策でもある機能強化加算の要件を厳しくすることに断固反対の立場です。厚労省は現時点で見直しに後ろ向きです。機能強化加算は診療体制を手厚くするコストを診療報酬に反映する「体制加算」の一つです。こうした加算は種類が多く、機能強化加算に限って事前説明を要件にするのは難しいとみています。患者が知らない間に医療費が重くなるという点では去年、妊娠と関係ない診療でも妊婦の自己負担が増える「妊婦加算」が批判を浴び、凍結となった経緯もあります。複雑な仕組みが負担増の隠れみのにならないよう関係者は加算の意義を丁寧に説明する必要があります。
2019年11月01日 09:05

年金手帳、廃止を提案 短期契約社員も厚生年金!(令和元年10月31日.日経新聞)

厚生労働省は令和元年10月30日、公的年金加入者に交付する「年金手帳」を廃止する方針を社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の年金部会に示しました。来年の通常国会に関連法改正案を提出する予定です。

●年金記録の管理に必要な基礎年金番号が記されており、本人に通知する役割がありましたが、電子データ化や行政手続きの簡素化が進んだため。将来的には20歳になった人が公的年金に加入する際、手帳に代わり基礎年金番号の通知書を送付する予定です。

●厚生年金の対象拡大策の一環として、雇用期間が2カ月以内の契約社員やパートらについても、契約更新が見込まれるなどの一定条件を満たせば厚生年金に加入できるようにする制度改正も提案しました。国民年金(基礎年金)にしか入っていない労働者に厚生年金にも加入してもらうことで、将来の年金額を手厚くするのが狙いです。
2019年10月31日 09:56

「事業者でなく労働者と認めて」コンビニ店主側が国提訴!(令和元年10月31日.朝日新聞)

セブン-イレブン・ジャパンやファミリーマートのフランチャイズ(FC)店主らでつくる「コンビニ加盟店ユニオン」が、店主を「労働者」と認めなかった中央労働委員会の命令の取り消しを求めた訴訟の第1回口頭弁論が10月28日、東京地裁でありました。被告の国は、請求棄却を求めて争う姿勢を示しています。

●この問題では、2014~15年に地方労働委員会が店主を労働者と認め、FC本部に団体交渉に応じるよう命じましたが、中労委は今年3月、地労委の判断を覆し、店主を「独立した事業者」と認定する命令を出しました。この命令に店主側が反発していました。

●訴状などによりますと原告側は、中労委が労働者かどうかを判断する枠組みを狭く設定しすぎていると批判。個別の案件ごとに総合判断すべきだとした過去の複数の最高裁判決にも反すると訴えました。国側は今後、中労委の命令の正当性を主張する方針とみられます。コンビニ加盟店ユニオンの酒井孝典執行委員長は記者会見で「フリーランスのように雇用によらない働き方をする労働者も増えています。そうした人たちにとっても重要な裁判だ」と話しました。
2019年10月31日 09:20