政府は改正労働者派遣法案を閣議決定しました。6月24日までを会期とする今国会で成立を目指します。法案が可決された場合は、2015年9月1日に施行することになります。
●同法案は昨年の通常国会と臨時国会で2度廃案に追い込まれています。政府は3度目の正直を目指しますが、野党は対決法案に位置づけており、先行きは不透明です。政府が成立を目指す改正派遣法は、IT業界への影響が予想される二つの制度廃止を含む。「特定労働者派遣事業」と「専門26業務」です。
●現在、派遣労働者の受け入れ期間は、通訳など専門性の高い26種類の業務では制限がなく、そのほかの一般業務では原則1年、延長しても3年が上限となっています。改正案では、専門業務と一般業務の区分を廃止し、事実上、期間制限を撤廃。具体的には、企業の同じ部署における派遣労働者の受け入れ期間を最長3年とし、労働者を入れ替えるか部署を移動すれば、何年でも受け入れることができるようになるというものです。
●改正案には「厚生労働大臣は労働者派遣法の運用に当たり、派遣就業が臨時的・一時的なものであることを原則とする考え方を考慮する」との文言とともに、施行3年後の見直し検討に加え、「能力の有効発揮と雇用安定に資する雇用慣行が損なわれるおそれがある場合は速やかに検討を行う」との文言が盛り込まれています。
►ポイント
今回の改正
・これまで届出制だった特定労働者派遣を廃止し、許認可制に一本化する。
・派遣期間の制限を受けなかったソフトウエア開発など専門26業務の枠組みを撤廃。
・一人の派遣技術者が同じ派遣先で働ける期間は、原則で最長3年間とする。
・特定労働者派遣に関しては、改正法の施行時から3年間は事業を継続できる。
・専門26業務の撤廃に伴う期間制限は、改正法の施行以降に締結した派遣契約を対象とする。
2015年03月16日 15:44