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一般社団法人日本人材育成協会

JAPAN PERSONNEL DEVELOPMENT ASSOCIATION

労務管理TOPICS

1か月140時間死亡前日まで『30日間連続勤務』配管工事の男性うつ病になり自殺 4400万円賠償命じる!(令和5年4月21日.MBSnews)

配管の工事会社に勤めていた60代の男性が自殺したのは、長時間労働によるうつ病が原因だとして、遺族らが会社に損害賠償を求めていた裁判で大阪地裁は約4400万円の賠償を命じました。

●判決によりますと、男性(当時66)は日立製作所などから請け負った工場プラント建設で現場監督を務めていましたが、2018年8月にうつ病を発症し、約1か月後、自宅のアパートで自殺しました。発症する前のひと月の時間外労働は約140時間に上り、死亡前日までに30日間連続で働いていたということです。2019年1月、遺族は元請けの日立製作所などや勤務していた配管工事会社などが労働時間の適正な把握を怠ったとして、合わせて約5500万円の損害賠償を求めていました。

●4月18日の判決で、大阪地裁は会社側の「業務委託契約で男性と雇用関係になかった」という主張に対し「男性が作業日報を提出するなど稼働状況が把握され拘束性が認められることから会社の指揮監督の下で働いていたとして労働契約に当たる」と指摘。「(会社は)長時間労働を認識していたにもかかわらず業務量を適正に調整しなかったことにより男性は精神障がいを発病し、その結果自殺に及んだ」と自殺との因果関係を認め、「労働者の心身の健康を損なうことがないように注意すべき義務を怠った」として配管工事会社に対し約4400万円の賠償を命じました。大阪地裁などによりますと、この裁判を巡って、元請けの日立製作所などと遺族の和解が成立しています。
2023年04月21日 09:28

フリーランス等で労基署が労働者と判断した場合に連携して年金事務所に情報提供!(令和5年4月18日.厚生労働省)

厚生労働省から、通達「被用者保険の更なる適用促進に向けた労働行政及び社会保険行政の連携について(令和5年基発0331第52号・年管発0331第5号)」が公表されました。日本年金機構理事長あてで、労働行政と社会保険行政とで一層の連携を図ることを目的とする通達です。

●都道府県労働局、労働基準監督署及び年金事務所は、フリーランス等から労働関係法令、健康保険法及び厚生年金保険法の適用に係る相談等があった際には、それぞれが所管する法令等について説明するとともに、他部署等の所管する法令等については、可能な限り別添リーフレット等を用いて説明し、当該法令等を所管する部署等を教示するなど、適切に対応することとされています。特に増加するフリーランス等で、実態は労働者に該当するケースが一定数見受けられることから労働者と判断した事案については、日本年金事務所に情報提供し、保険適用者のさらなる促進を図ることとされました。
    
厚生労働省リンク(pdf) 
2023年04月18日 08:47

上司が「退職届書いたか」、整髪料つけて髪形変える…ゆうちょ銀に賠償命令!(令和5年4月17日.讀賣新聞)

上司らからパワーハラスメントを受け、うつ状態になったなどとして、茨城県城里町の男性(68)が勤務先だったゆうちょ銀行(東京都)に計1億1000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が令和5年4月14日、水戸地裁でありました。阿部雅彦裁判長(三上乃理子裁判長代読)は一部の訴えを認め、銀行側に55万円の支払いを命じました。

●判決は、男性が同行の千葉地域センターなどに勤務していた2013年以降、上司から「退職届を書いたか」と言われたり、整髪料をつけて直接いじって髪形を変えられたりしたことを認め、「人格的利益の侵害は明らかだ」などとし、銀行側が安全な職場環境を確保する義務を怠ったと認定しました。

●男性は2016年に抑うつ状態と診断され、2018年に雇い止めになって退職しました。判決後、男性は一部しか訴えが認められなかったことに対し、「目指していた判決には程遠い。控訴するかどうか考えたい」と話し、同行広報部は「判決文を受領しておらず、現時点でのコメントは差し控える」としました。
2023年04月17日 09:58

グーグルとアマゾン、欧州で人員削減進まず-厳しい労働法の壁!(令和5年4月11日.Bloomberg)

米大手テクノロジー企業は、歴史的な大規模レイオフ計画を発表しましたが、欧州で実際に人員を削減することの難しさに直面しています。米国では企業が大規模な人員削減を発表し、数カ月以内に数千人ではなくても数百人の削減を実施することが可能であり、実際に多くの企業がそうしています。一方、欧州ではテクノロジー企業の大量レイオフは滞っています。その理由は、労働者保護の観点から、一部の国では労働者の利益団体と事前交渉を行わずに解雇することが事実上不可能だからです。

●フランスでは、グーグルの親会社であるアルファベットが希望退職を通じた人員削減を交渉中です。同社は十分な退職金パッケージを支給し、退職を促したいと考えていると、事情に詳しい複数の関係者が非公開情報であることを理由に匿名を条件に明らかにしました。アマゾンは一部の上級管理職に最大1年分の給与を提示して退職を促そうとしたほか、退職する従業員にはアマゾン株の権利を確定し、ボーナスとして支給できるよう「ガーデニング休暇」(転職前の休暇)を認めたと、事情に詳しい関係者の1人が語っています。

●欧州連合(EU)内でも特に労働法による縛りが厳しいフランスとドイツの両国で、グーグルは従業員の代表で構成される労使協議会と交渉中です。事情に詳しい関係者が明らかにしました。企業はレイオフ前にこうした協議会との交渉が法律で義務付けられており、交渉は情報収集や話し合い、救済の可能性を含めて長期間にわたるプロセスになることもあります。

●グーグルはコメント要請に対し、交渉が行われていることを認め、ルーマニアとギリシャ、オーストリアではレイオフを計画していないと続けました。同社広報担当者の1人はブルームバーグの質問に対し、「人員削減を行う国では、国ごとの法的要件を完全に満たすよう慎重に作業を進めている。法的要件は各地で異なり、内容も複雑で時間がかかる」と答えています。アマゾンのドイツ部門では、試用期間中の労働者のレイオフや自主退職案の提示が始まったと、関係者の1人が話しています。アマゾンの広報担当者は個別のケースについてのコメントを控えています。 
2023年04月11日 09:09

必要な休憩を与えず制服着替えは算定外労基署がつくばエクスプレスに是正勧告!(令和5年4月10日.東京新聞)

駅員に必要な休憩を与えなかったなどとして、常総労働基準監督署(茨城県常総市)がつくばエクスプレス(TX)守谷駅(守谷市)の施設に対し、是正勧告していたことが分かりました。

●TXを運行する首都圏新都市鉄道によりますと、是正勧告は1月20日付。守谷駅の運転士や駅員らが勤務する管理所二カ所に計五件の指摘がありました。勧告では、駅員一人に必要な休憩時間を与えなかったことや、制服の着替え時間を労働時間に算入していなかったことを改善するよう求めています。同社は今後、着替え時間として5分を労働時間に組み込みます。

●このほか、管理所からホームに移動する時間の想定が短かったことや、研修に出席する場合の労働時間の算定などを不適切と指摘しています。管理所二カ所には約200人が勤務しています。同社は以前、労使協定を超えた時間外労働などで是正勧告などを受けています。首都圏新都市鉄道の広報担当は「今後も法令順守を徹底していきたい」とコメントしました。 
2023年04月10日 12:51

明治安田生命「パパ産前休暇」JR九州は祝い金最大50万円!少子化対策に企業本腰(令和5年4月7日,読売新聞)

政府の「次元の異なる少子化対策」に呼応して、企業の間で従業員の出産・子育てを支援する動きが広がっています。新たな休暇制度の創設や、職場全体での育児の応援など取り組みは多岐にわたります。ただ、配偶者の休暇取得率はなお低調で、職場の理解や協力は欠かせない状況です。

●明治安田生命保険は2024年度から、男性職員を対象に、配偶者の出産予定日の8週間前から取得可能な「パパ産前休暇(仮称)」を導入します。配偶者の出産前に入院準備や、出生児の兄弟・姉妹の世話などに活用してもらうとのことです。期間は1週間程度を想定しています。これまでは出産前に休むには年次有給休暇(有休)を消化していたが、別枠で休暇を取得できます。共働き世帯が増えるなか、出産前から男性が積極的に家事や子育てを担うことで、配偶者の負担を軽減し、出産を前向きに受け止めてもらえるようにしたい考えです。花王は今年から、男女ともに対象とした「有給育児休暇」を新設しました。10日間の育休を必ず取得するよう必須の休暇制度にしたのが特徴です。育児期の短時間勤務制度も取り入れ、会社全体で育児しながら働ける機運作りに取り組んでいます。育児のための休暇や時短勤務を行う当事者だけでなく、職場の同僚に目を向けたのが、三井住友海上火災保険です。今年度から、育休を取得した社員の同僚に一時金を支給する「育休職場応援手当」(同僚1人あたり3000円~10万円)を始めます。同僚にも恩恵を与え、職場全体が育休を快く受け入れる環境を目指します。

●柔軟な働き方は、出生率の向上につなげる効果があるとの見方もあります。伊藤忠商事が勤務時間を朝に移したところ、2021年度の社内出生率が1・97にまで上昇したといいます。育児・子育て支援を目的に進めた働き方改革ではないですが、早朝勤務や午後8時以降の就業の原則禁止などを取り入れたところ、共働きでも子育てがしやすくなる効果があったといいます。出産や子育てに対しては、経済的な負担を懸念する声も根強く、政府は児童手当について所得制限を撤廃する方向で検討に入りました。多子世帯を支援する狙いがあります。企業でも、JR九州が2024年4月から、従業員への出産祝い金を現状の一律1万円から大幅に増額します。第1子は30万円、第2子は40万円、第3子以降は50万円とする方向です。少子化が社会問題という危機感が企業の間にも広がりつつあります。


●男性の育休取得13%。出産、子育ての鍵を握るのが、育児休業制度の有効活用です。厚生労働省によると、育休取得率は2021年度で、女性が85・1%なのに対し、男性は13・97%。男性の取得率は9年連続の上昇ですが、政府の25年目標の30%は遠いものとなっています。取得期間についても、男女差は大きいです。女性の34・0%が「12か月~18か月未満」、30・0%が「10か月~12か月未満」でした。男性の半分以上は2週間未満で、4人に1人は平日にあたる5日すら取得していません。育休制度が未整備の企業も考慮すると、なお育休取得の浸透は十分とは言えない状況にあります。日本総合研究所の藤波匠・上席主任研究員は「育児は女性がするものという意識から脱していない。賃金の向上や、企業の魅力的な子育て支援制度の整備によって、意識を変えていく必要がある」と指摘しています。
2023年04月07日 12:46

最低賃金のランクを4から3区分に! 厚労省、格差縮小狙う!(令和5年4月4日,日経新聞)


厚生労働省は最低賃金(最賃)引き上げの目安額を示す都道府県別のランク分けを現行の4から3に変える方針です。区分けを減らし、最賃の地域間格差の縮小につなげる狙いがあります。全国4区分で目安額を示すようになった1978年以来、初めての見直しとなります。

●今夏に決める最賃引き上げの目安額から適用する見通しです。6日に開く中央最低賃金審議会(厚労相の諮問機関)で決めます。最賃は審議会が毎年夏、47都道府県をA〜Dの4ランクに分けて引き上げの目安額を決めています。ランクは各都道府県の賃金など経済状況をふまえ、振り分けてきました。

●最も高いAと最も低いDでは目安額に数円の差が出ることが多く、是正が課題になっていました。今後は各都道府県の労働者数なども考慮して3ランクに分けます。岸田文雄首相は3月に開いた政府と経済界、労働団体の代表者による政労使の会議で、最賃の地域間格差是正への取り組みが必要だと強調していました。

 
2023年04月06日 12:45

京都大に55万円賠償命令 元教授の適応障害巡り!(令和5年3月30日,産経新聞)

京都大の山田亮元教授が、大学院生の研究倫理違反行為に対する必要な指導をハラスメントと認定された上、適応障害を発症したとして、大学側に約165万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が30日、京都地裁であり、池田知子裁判長は大学側に55万円の支払いを命じました。

●判決によりますと、山田氏は平成30年8月、承認を得ずに外部研究に参加した大学院生に対し謝罪文の提出を求めました。大学側は令和元年11月、この行為をハラスメントと認め厳重注意処分としました。山田氏は大学側から調査を受ける中で適応障害を発症。職務の負担軽減を大学側に繰り返し求めていました。

●池田裁判長は「山田氏が病気休暇に入るまで業務を軽減する措置を取らなかった」として大学側の安全配慮義務違反を認めました。一方で「山田氏とのやりとりで強い恐怖を受けていた大学院生に対し、謝罪文を求めたのは必要な指導の範囲を超えていた」と指摘。山田氏は処分の無効確認も求めていましたが「注意処分から生じる不利益はなく、不適法」として却下しました。

●山田氏は控訴する方針。京都市内で記者会見し「複数人で行った指導で、ハラスメント認定は心外だ」と話しました。京都大は取材に「内容を精査し今後の対応を検討したい」としました。
2023年04月05日 10:12

フリーランス、労働政策議論の枠外(令和5年3月9日.読売新聞)

日本の労働政策は、労働者の保護を強化する方向で進んできましたが、フリーランスはその枠外に置かれてきました。労働時間や休日などを定めた労働基準法が成立したのは戦後まもない1947年です。戦前の劣悪な労働環境を踏まえ、復興の担い手として労働者を手厚く保護する狙いがありました。企業などから指揮命令を受けないフリーランスは企業と同列の事業者と扱われました。その後、労基法は改正を重ね、法定労働時間が短縮されるなど労働者の保護が進みました。転機となったのは、1985年に制定された労働者派遣法です。

●経済成長とともに職業の細分化が進み、企業が専門人材を求めるようになりました。働く側にも一つの会社に縛られない意識が広がり、同法で例外的に直接雇用でない働き方が認められました。当初は専門性が高い13業務に限られていましたが、1999年に原則自由化となり、2004年にはそれまで禁止されていた製造業にも解禁されました。この結果、雇用者に占める非正規の割合は1984年は15%でしたが、2004年には31%と倍増しました。

●派遣社員も労働者で、労基法などで保護されます。しかし、1日単位で派遣される「日雇い派遣」など不安定な働き方が広がり、2008年のリーマン・ショックで「派遣切り」や「雇い止め」が社会問題となりました。その後、非正規雇用の制度改善が進み、2012年に日雇い派遣は原則禁止になりました。2018年には「同一労働同一賃金」などを柱とする働き方改革関連法が成立しました。職務内容などが同じなら、正社員や派遣社員、パートなど雇用形態の違いで賃金に差をつけることが禁じられました。雇用者に占める非正規の割合は2019年の38%をピークにその後減少傾向にあります。

●一方、フリーランスは労働法令の枠外に置かれたままです。長時間労働や休日の規定がありません。企業は1日単位での仕事の発注も可能です。雇用保険料や健康保険料を負担する必要もありません。社員の長時間労働の解消が進み、非正規のコストが上昇する中、人手不足に悩む業界でフリーランスへの業務委託が広がり、社員との雇用契約を業務委託契約に切り替えるケースもあります。また、ITの発達で、UberEatsなど、単発短時間の仕事をする「ギグワーカー」という働き方も登場しました。フリーランスと労働者との垣根があいまいになってきています。

 
2023年03月28日 09:59

雇用保険の加入条件緩和へ調整 対象外だった労働者も 政府!(令和5年3月23日.NHKnews)

少子化対策の強化に向けた一環として、政府は雇用保険の加入条件を緩和して、短時間勤務の非正規労働者などが失業したり育児休業を取得したりした場合にも保険給付を受け取れるよう、制度を見直す方向で調整を進めていることが分かりました。

●これまで雇用保険は原則、1週間の労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用の見込みがあることが加入の条件となっていて、失業したり育児休業を取得したりした場合に保険給付を受け取れることになっています。政府はこの加入条件を緩和し、これまで雇用保険の対象外だった短時間勤務の非正規労働者なども保険給付を受け取れるよう、制度を見直す方向で調整を進めていることが関係者への取材で分かりました。

●多様化する働き方に対応するとともに、安心して育児に取り組める環境を整える狙いがあると見られます。こうした内容は、政府が今月末をめどにまとめるとしている少子化対策を強化するための具体策のたたき台に盛り込むことが検討されています。盛り込まれれば、労使で作る厚生労働省の審議会で、加入条件を緩和する方法や財源となる保険料の負担などの具体的な議論が進められることになります。
2023年03月23日 09:45