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一般社団法人日本人材育成協会

JAPAN PERSONNEL DEVELOPMENT ASSOCIATION

労務管理TOPICS

京都大に55万円賠償命令 元教授の適応障害巡り!(令和5年3月30日,産経新聞)

京都大の山田亮元教授が、大学院生の研究倫理違反行為に対する必要な指導をハラスメントと認定された上、適応障害を発症したとして、大学側に約165万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が30日、京都地裁であり、池田知子裁判長は大学側に55万円の支払いを命じました。

●判決によりますと、山田氏は平成30年8月、承認を得ずに外部研究に参加した大学院生に対し謝罪文の提出を求めました。大学側は令和元年11月、この行為をハラスメントと認め厳重注意処分としました。山田氏は大学側から調査を受ける中で適応障害を発症。職務の負担軽減を大学側に繰り返し求めていました。

●池田裁判長は「山田氏が病気休暇に入るまで業務を軽減する措置を取らなかった」として大学側の安全配慮義務違反を認めました。一方で「山田氏とのやりとりで強い恐怖を受けていた大学院生に対し、謝罪文を求めたのは必要な指導の範囲を超えていた」と指摘。山田氏は処分の無効確認も求めていましたが「注意処分から生じる不利益はなく、不適法」として却下しました。

●山田氏は控訴する方針。京都市内で記者会見し「複数人で行った指導で、ハラスメント認定は心外だ」と話しました。京都大は取材に「内容を精査し今後の対応を検討したい」としました。
2023年04月05日 10:12

フリーランス、労働政策議論の枠外(令和5年3月9日.読売新聞)

日本の労働政策は、労働者の保護を強化する方向で進んできましたが、フリーランスはその枠外に置かれてきました。労働時間や休日などを定めた労働基準法が成立したのは戦後まもない1947年です。戦前の劣悪な労働環境を踏まえ、復興の担い手として労働者を手厚く保護する狙いがありました。企業などから指揮命令を受けないフリーランスは企業と同列の事業者と扱われました。その後、労基法は改正を重ね、法定労働時間が短縮されるなど労働者の保護が進みました。転機となったのは、1985年に制定された労働者派遣法です。

●経済成長とともに職業の細分化が進み、企業が専門人材を求めるようになりました。働く側にも一つの会社に縛られない意識が広がり、同法で例外的に直接雇用でない働き方が認められました。当初は専門性が高い13業務に限られていましたが、1999年に原則自由化となり、2004年にはそれまで禁止されていた製造業にも解禁されました。この結果、雇用者に占める非正規の割合は1984年は15%でしたが、2004年には31%と倍増しました。

●派遣社員も労働者で、労基法などで保護されます。しかし、1日単位で派遣される「日雇い派遣」など不安定な働き方が広がり、2008年のリーマン・ショックで「派遣切り」や「雇い止め」が社会問題となりました。その後、非正規雇用の制度改善が進み、2012年に日雇い派遣は原則禁止になりました。2018年には「同一労働同一賃金」などを柱とする働き方改革関連法が成立しました。職務内容などが同じなら、正社員や派遣社員、パートなど雇用形態の違いで賃金に差をつけることが禁じられました。雇用者に占める非正規の割合は2019年の38%をピークにその後減少傾向にあります。

●一方、フリーランスは労働法令の枠外に置かれたままです。長時間労働や休日の規定がありません。企業は1日単位での仕事の発注も可能です。雇用保険料や健康保険料を負担する必要もありません。社員の長時間労働の解消が進み、非正規のコストが上昇する中、人手不足に悩む業界でフリーランスへの業務委託が広がり、社員との雇用契約を業務委託契約に切り替えるケースもあります。また、ITの発達で、UberEatsなど、単発短時間の仕事をする「ギグワーカー」という働き方も登場しました。フリーランスと労働者との垣根があいまいになってきています。

 
2023年03月28日 09:59

雇用保険の加入条件緩和へ調整 対象外だった労働者も 政府!(令和5年3月23日.NHKnews)

少子化対策の強化に向けた一環として、政府は雇用保険の加入条件を緩和して、短時間勤務の非正規労働者などが失業したり育児休業を取得したりした場合にも保険給付を受け取れるよう、制度を見直す方向で調整を進めていることが分かりました。

●これまで雇用保険は原則、1週間の労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用の見込みがあることが加入の条件となっていて、失業したり育児休業を取得したりした場合に保険給付を受け取れることになっています。政府はこの加入条件を緩和し、これまで雇用保険の対象外だった短時間勤務の非正規労働者なども保険給付を受け取れるよう、制度を見直す方向で調整を進めていることが関係者への取材で分かりました。

●多様化する働き方に対応するとともに、安心して育児に取り組める環境を整える狙いがあると見られます。こうした内容は、政府が今月末をめどにまとめるとしている少子化対策を強化するための具体策のたたき台に盛り込むことが検討されています。盛り込まれれば、労使で作る厚生労働省の審議会で、加入条件を緩和する方法や財源となる保険料の負担などの具体的な議論が進められることになります。
2023年03月23日 09:45

名張市が法令順守研修! 贈収賄事件受け管理職に(令和5年2月23日.読売新聞)

名張市発注の電気工事を巡り、市職員ら2人が逮捕された贈収賄事件を受け、市は令和5年2月22日、管理職を対象にしたコンプライアンス(法令順守)研修会を市防災センターで開きました。

●室長級以上の約110人が出席しました。北川裕之市長は「市の業務は市民の信頼、信用の上に成り立っており、市役所は危機的な状況と強く認識してほしい」と強調。「業務や事務処理に不備はないか、再発防止に有効な方策はないか、各職場で検証・検討を」と求めました。さらに「なぜ防ぐことができなかったのか、自分ごととして捉える必要がある。顔を突き合わせて話し合ってほしい」と呼びかけました。さらに弁護士資格を持つ法務担当職員による注意喚起の講話が行われました。賄賂罪や職員の倫理規定、禁止行為を説明。法令順守の徹底と職員倫理の維持を改めて訴えました。今後、市は新年度に全職員を対象にした研修会を開くことにしています。
2023年03月22日 09:30

令和5年度の介護保険料、過去最高の月6216円!(令和5年2月27日.産経新聞)

厚生労働省は令和5年2月27日、40~64歳の人が負担する介護保険料の推計が、平均で1人当たり月6216円になると発表しました。前年度から111円増加する見通しです。

●高齢化の進行により、介護サービスの利用者が増加しており、過去最高の更新が続いています。制度を開始した平成12年度は月2075円で、3倍近く膨らみました。金額は企業や公費による負担分を含みます。健康保険組合などに加入している会社員らの保険料は、労使折半で給与水準が上がるほど支払う額が増えます。国民健康保険に入っている自営業者らは、公費で半分を負担します。40~64歳の保険料は毎年度改定しています。65歳以上は市区町村ごとに3年に1度見直すしくみとなっています。
2023年03月16日 09:44

失業給付の受け取り2カ月から短縮を検討 首相明言、転職を後押し!(令和5年2月20日.朝日新聞)

仕事を失った人に国が支給する失業給付について、政府は自己都合で退職した人にのみ、受け取りまで2カ月超の時間がかかる今の仕組みを見直す検討に入りました。政府の「新しい資本主義実現会議」で岸田文雄首相が「労働移動を円滑化するため、自己都合で離職した場合の失業給付のあり方の見直しを行う」と述べました。

●失業給付は、仕事を失った後にハローワークで手続きをすることで、直近の賃金の5~8割程度の金額を90~150日間にわたり受け取ることができます。ただ、自己都合で退職した人は、手続きを始めてから実際に失業給付を受け取るまで、2カ月超の制限期間が設けられています。解雇や倒産など会社の都合による失業と同程度の保護が必要だと認めるには、勤め先を辞めてから一定の期間にわたり失業が続いている必要があるとの考えです。

●政府は、新たな技能を習得するリスキリングや労働移動を通じて、働き手の賃上げを進めたいとしています。働き手が自発的に転職できるようにするため、失業給付の制限期間の短縮や撤廃について「慎重に検討すべきではないか」と、この日の会議で示しました。6月末までに策定する指針に盛り込むかを検討する方針です。

●他の発言
・公的セクターや政府調達に参加する企業で働く人の賃金を引き上げる
・中小企業の賃上げ実現へ、生産性向上や下請け取引の適正化、価格転嫁を促進する
・フリーランスの取引適正化も強化する
・今後も必要な政策対応に躊躇(ちゅうちょ)なく取り組む-物価高対策
・将来世代への責任として対応する-防衛費増の財源
・国家戦略として資産形成支援、長期的には運用収入そのものの倍増も見据える
・2025年をめどに全都道府県で自動運転の社会実験実施目指す
 
2023年03月15日 09:57

東京都営交通協力会に是正勧告 労働時間を適正把握せず!(令和5年3月14日.産経新聞)

東京都交通局から都営地下鉄の駅業務などを受託している一般財団法人「東京都営交通協力会」(江東区)が、労働時間を適正に把握していなかったなどとして、東京労働局などから相次いで是正勧告や是正指導を受けていたことが令和5年3月13日分かりました。

●協力会によりますと、都営地下鉄の駅に勤務する職員の出勤、退勤時間を記録しておらず、労働時間を把握していませんでした。出勤・退勤時に労務責任者が行った点呼の時間も記録がありませんでした。このほか、時間外労働に対する割増賃金の未払いも判明。亀戸労働基準監督署から労働安全衛生法に基づく是正勧告を受けました。また、職員を募集する際、応募者に労働条件を適正に明示していなかったなどとして、東京労働局から職業安定法に基づく是正指導を受けたといいます。協力会の担当者は「是正勧告、是正指導を受けたことは真摯(しんし)に受け止め、必要な改善、対応を的確に取っていきたい」としています。
2023年03月14日 12:29

健康保険証廃止、マイナに一本化 カードなしは資格確認書で診療!(令和5年3月13日.共同通信)

政府は、健康保険証を廃止して「マイナ保険証」に一本化し、マイナンバーカードを持たない人は「資格確認書」で保険診療を受けてもらうとしたマイナンバー法など関連法改正案を閣議決定しました。ただ確認書は有効期間最長1年の更新制とし、患者の窓口負担もマイナ保険証より重くする方針です。2024年秋の実施を目指しますが、カード取得の「事実上の義務化」との指摘が出ています。

●確認書は健康保険組合などが本人の求めに応じて発行します。カードはあっても保険証機能を持たせていない人も必要で、カードを紛失した人や更新手続き中の人も対象となります。経過措置として現行保険証を最長1年間は使えます。改正案には他にもカード取得促進策を盛り込みました。顔つきの変化が早い1歳未満は顔写真なしで申請できるようにします。成人のカードは発行から10回目の誕生日まで有効ですが、この場合は5歳の誕生日までを想定しています。マイナンバー制度の有効活用も図ります。行政機関が把握済みの住民の口座を、公金受取口座として登録する制度を設けます。
2023年03月13日 11:52

「ごはんですよ!」の桃屋に是正勧告、36協定結ばずに「時間外労働」!(令和5年3月9日.livedoorNEWS)

主力商品「ごはんですよ!」で知られる食品メーカー「桃屋」(東京都中央区)が、36協定を結ばずに時間外労働をさせていたなどとして、中央労働基準監督署から是正勧告を受けていたことが令和5年3月7日までにわかりました。勧告は2月20日付。

●桃屋は36協定を未締結のまま従業員に時間外労働や休日労働をさせていたほか、就業規則に定期昇給の定めがあるのに、定期昇給が廃止されても就業規則の変更がされないなどの法令違反が指摘されたといいます。また、適正な労働時間管理のための対策を講じることなどの指導があったとされます。

●こうした是正勧告について、事実確認のため取材を申し込んだところ、同社は次のように文書で回答しました。「所轄労働基準監督署から是正勧告を受けたことは事実でございますが、ご指摘頂きました内容につきましては、労働基準監督署および外部専門家へ相談しご指導を頂きながら現在社内で適宜対応している状況であり、個別の回答については控えさせていただきたく存じます」
2023年03月09日 12:56

韓国、わずか5年で「夕方のある暮らし」危機に…集中労働で休む権利後回し!(令和5年3月9日.Yahoo!ニュース)

韓国での話ですが、政府が労働時間を柔軟化することを核とする「労働時間制度改編案」を令和5年3月6日に確定したことで、「夕方のある暮らし」をスローガンに2018年から実施されてきた週最大52時間労働の枠組みが、わずか5年で大きく揺らいでいます。改編案は延長労働の時間管理の単位を拡大する一方、選択労働制と弾力労働制も柔軟化し、仕事が集中する時期に週52時間以上働き、代わりに休暇の活性化で休息権を保障するとする内容が盛り込まれています。政府は改編案について「労働者の選択権(時間主権)、健康権、休息権を保障するためのもの」と説明しています。労働界は「労働権、健康権、休息権なき三無の残業法」(職場パワハラ119)として強く反発しており、経営界は「古い法と制度を改善する労働改革の出発点」(経営者総協会)として歓迎しています。

●政府が示した改編案の核となる延長労働の時間管理単位の拡大は、現在は週単位(12時間)のみが使える延長労働時間を月(52時間)、四半期(140時間)、半年(250時間)、年(440時間)単位も使えるようにし、特定の日、週、月、四半期などに自由に集中できるとする内容です。選択肢は2つ。(1)週最大64時間労働を、退勤と出勤の間の11時間連続の休息なしで勤務するか(2)週64時間以上の労働で、11時間連続休息権が与えられるかです。雇用労働部のイ・ジョンシク長官は、このような延長労働時間管理を説明しつつ、「労働時間の選択権を拡大したもの」だと語っています。ただし労働現場での延長労働の柔軟化は、結局は使用者の意思により労働時間を不規則に増やすことになると懸念されます。民間公益団体「職場パワハラ119」は改編案について「(政府の提案した)11時間連続休息制度なき64時間労働においては、午前4時退勤、午前9時出勤で週4日連続労働も可能となる」と説明した。また「政府の主張どおり自律と選択だというなら、労使が対等に労働時間を決められるようになっていなければならないが、韓国の労働者の86%には労働組合がなく、労働時間を決めるべき労働者代表は社長の弟や営業本部長だ」と批判しました。政府はこのような懸念に対して、労働者代表の民主性と代表性を強化する方策を改編案に組み込んでいます。

●改編案はまた、「業務に対するかなりの裁量が認められる高所得・専門職、一定規模以上の株を持つスタートアップの労働者」には、延長労働を制限したり、延長労働手当てを支給しなくてもよい「ホワイトカラー・エグゼンプション」制度を検討することも研究課題として設定しました。また、選択労働制の精算期間を全業種について1カ月から3カ月へと拡大しましたが、当初は労働者の時間選択権を強調しているこの制度では、週40時間以内は延長労働手当てなしに労働時間を柔軟化するなど、悪用される恐れがあるとの懸念が生じています。労働時間の柔軟化は「集中労働」を招き労働者の健康を害するとの懸念に対して、政府が用意した「健康保護装置」は、どのようなケースであっても4週間の週平均労働時間は64時間以内とし、1週間で労働時間が64時間以上になる場合は11時間連続休息権を付与するというものです。これは、平均の労働時間は制限できるものの、日単位、週単位での不規則な労働がもたらすリスクは依然として残ります。特に注目すべきは、弾力的労働時間制(特定の労働日・週の労働時間を延長するのではなく、特定期間の平均労働時間を週40時間とするもの)を実施すれば、本来はあらかじめ定めておくべき労働時間を「機械の故障、業務量の急増などの避けられない理由の発生時に事後的に変更できるように」するという内容が改編案に含まれていることです。不規則労働に加え「突発労働」も可能となるわけです。ソウル聖母病院職業環境医学科のキム・ヒョンニョル教授は「長時間労働そのものも問題だが、突発労働、不規則労働が健康に及ぼす影響も大きい」とし、「この間の研究結果をみれば、日単位、週単位で不規則に労働する人々は不安障害が深刻化する。週当たり労働時間が7日前に比べて10時間増えると、心血管疾患の危険性が大きく高まる」と語っています。

●2018年7月から実施されている週最大52時間労働は、弾力労働制の拡大や30人未満の事業所に対する事実上の適用除外により、現在も完全に実施されているとはいえません。ただし「週に最大52時間働ける人の時間に合わせて仕事のやり方を変えなければならない」という認識は広がり、それによって実際の労働時間も減ってきています。制度実施前の2017年には244万7千人にのぼった週52時間以上働く労働者は、2021年には100万1千人と半数以下に減少しています。ただ、依然として経済協力開発機構(OECD)の平均(1716時間)に比べ、韓国の年間労働時間(1916時間)は200時間ほど長い。実労働時間の削減の必要性は依然として残っているわけです。 政府は実際の労働時間の削減に向けて「労働時間貯蓄口座」の導入などによって長期休暇を取りやすくする制度的基盤を築くことを決めています。「団体休暇、長期休暇の活性化のための国民キャンペーン」などで、人の顔色をうかがわない休暇取得の拡大を図る計画です。ただし年次有給休暇の消化率は、2021年には58.7%にとどまるほど、休暇取得は活発になされていません。これは延長・休日労働に対する手当てが賃金のかなりの部分を占めるという、ゆがんだ賃金構造が大きく影響しているが、これに対する対策は改編案にはない。イ・ジョンシク長官は「ゆがんだ賃金体系が長時間労働を強めている面があるが、これは共生賃金委員会で別途議論する」と語っています。ソウル科学技術大学のチョン・フンジュン教授は「政府が労働市場の柔軟化を強調しているうえに、制度適用も複雑なため、特定の週に過度に働き休むべき時には休めないなど、制度が乱用される恐れがある」とし、「特に仕事量の変動にともなう労働時間の柔軟化の必要性が大きく、延長労働がなければ賃金が少ない小規模な事業所では労働時間が増える一方、大企業や公共機関のような労働組合がある事業所は大きな影響を受けないため、労働時間の両極化が起きる可能性もある」と語りました (パン・ジュンホ、チャン・ヒョヌン記者)。
2023年03月09日 12:46